はしかで亡くなった米6歳の子どもの両親、ワクチンを接種させなかったことに「後悔はない」。肺炎を発症して死亡

肺炎ははしかの合併症として知られているが、両親は子どもが亡くなった後もワクチンを否定している
はしかの感染が拡大しているテキサス州でMMRワクチンを注射器に入れる医療従事者(2025年3月1日)
はしかの感染が拡大しているテキサス州でMMRワクチンを注射器に入れる医療従事者(2025年3月1日)
Jan Sonnenmair via Getty Images

はしかで亡くなったアメリカ・テキサス州の6歳の子どもの両親が、予防接種を受けさせていなかったことについて「後悔はない」と述べた。

この子どもははしかに感染して2月に入院した後に亡くなった。アメリカで子どもがはしかで死亡するのは2015年以来10年ぶりだ。

はしかは感染力が非常に強いものの、予防可能な疾患だ。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は「MMR(はしか・おたふく風邪・風疹)混合ワクチンは、はしかを防ぐための最も有効な手段だ」としている。

しかし、亡くなった子どもの母親は「私たちは絶対にMMRを接種しません」と、厚生長官のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が設立したワクチン反対派の団体「Children’s Health Defense(CHD:チルドレン・ヘルス・ディフェンス)のインタビューで語った。

亡くなった子どもの両親はキリスト教の教派のひとつであるメノナイト教団に所属しており、インタビューでは英語のほかに低地ドイツ語も話した。

インタビューで母親は通訳を介して「ワクチンを接種しないで」と伝えた。また、父親は「はしかは体に良いものでウイルスが免疫系を強化する」と主張した。ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏も3月にFOXのインタビューで同様の主張をしているが、科学的に否定されている。

テキサス州ゲインズ郡セミノールの病院の外に置かれた、はしか検査の標識(2025年2月21日)
テキサス州ゲインズ郡セミノールの病院の外に置かれた、はしか検査の標識(2025年2月21日)
via Associated Press

テキサス州でははしかの感染拡大が深刻化しており、州保健当局によると2025年の感染者数は3月21日時点で309人にのぼる。これは、2024年に報告されたアメリカ全体での感染者数285人を24人上回る。

母親によると、亡くなった子どもは土曜日に発熱し、月曜日に呼吸困難に陥った。病院で気管挿管などの治療を受けたものの、数日後に肺炎で死亡したという。

CDCによると、肺炎ははしかの合併症として知られており、感染した子どもの最も多い死因になっている。

母親は、亡くなった6歳の子どものほかに、7歳と5歳、3歳、2歳の4人の子どももはしかに感染したものの、咳止めを飲んで回復したと説明している。

これは、ワクチンを接種していない5人に1人がはしかで入院しているというCDCの統計と一致する。

両親はインタビューでワクチンを否定した一方で、「他に助ける方法があったのではないか」と病院の治療方法に疑問を呈した。

また、子どもの死について「与えられた寿命だった」「この世には素晴らしすぎる存在だった」と語り、父親は「神は誤りを犯さない、人々の目を覚まさせるための出来事だったのだ」とも述べた。

一方、治療にあたったコヴェナント子ども病院は21日、「当院の治療に関して、誤解を招く不正確な主張が含まれている」とハフポストUS版への声明で述べた。

また、守秘義務があるために具体的な情報は共有できないとした上で「当院の医師や医療チームは、科学的根拠に基づいた治療計画に従い、患者の病状の変化や診断結果、最新の医療知識に基づいた臨床的判断をしている」とも述べている。

CDCは、MMRは安全で効果的なワクチンで、95%以上が接種している地域では、多くの人が集団免疫で守られるとしている。

子どもがはしかに感染した場合、20人に1人が肺炎、1000人に1人が脳炎を発症し、けいれんを起こして聴覚障害や知的障害が残る場合もあるという。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。

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