初心者必見「高配当株」を見つける5つのステップとは?資産8億円の投資家が教える“超”分散型投資のメリット

資産8億円超えの元消防士が明かす「高配当株」を見つける5つのステップ。投資初心者が徹底すべき「一つ」のこととは…?

初任給10万円の消防士時代から投資を始め、49歳のときに資産2億円近くに達し、早期退職してFIREを実現したかんちさん。高配当株・優待株を主軸に投資を続け、今では8億円もの資産を築いています。初の著書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』より一部を抜粋・編集。初心者でも取り組みやすい、高配当株を見つける5つのステップとは?(全3回の2回/#3に続く)

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高配当株を見つける5つのステップ


ステップ1 「配当利回り3.5%以上」の銘柄を抽出
ステップ2 「増収増益・増配」の銘柄だけを絞り込む
ステップ3 「PER×PBR=15倍超」の割高銘柄を除外する
ステップ4 一時的な要因で株価が上がった銘柄を除外する
ステップ5 厳選した銘柄を株価が下がったところで買う


私は上記5つのステップで高配当株を見つけています。実際にやってみれば、そんなに時間がかからないことが、わかってもらえると思います。

この作業に慣れていることもありますが、1銘柄につき5~10分で終わらせます。そして、そこで「いい」と思えば、買ってしまうのです。「気になった企業のホームページに飛んで事業内容を精査してIR資料を読み込んで……」といったことはしません。

このステップを踏んで、最終的に残る銘柄はそれほど多くはありません。体感的にはステップ1で「配当利回り3.5%」の基準をクリアした銘柄のうち、最終的に購入候補として残るのは3割くらいでしょうか。

厳選して残った株から買えば、ほとんど間違いはありません。この手法は投資初心者にとっても、かなりとっつきやすいはずです。

かんちさん初の著書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』
かんちさん初の著書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』
ダイヤモンド社

私の手法だと「親会社の株は買わないけれど、子会社の株は買う」なんてこともあります。

そう言うと銘柄分析が得意な投資家仲間からは、「それは『Nintendo Switch』の本体を買わずに、コントローラーだけ買うようなものだよ」と批判されることもありますが、私はどれだけ優秀な本体でも、配当をくれないなら買わないのです。

5つのステップでは、業界の流行り・廃りや会社の強み・弱みを深く調べなくてもよければ、決算書も深く読み込まなくてもいい。基本的には売買せずに“握りっぱなし”。すごくわかりやすいですよね。

600銘柄の“超”分散型投資で痛手をカバー

もちろん正直にいえば、銘柄分析をしていない分、1つひとつの判断の精度は、精査している人に比べて落ちるところは否めません。

保有銘柄の多くは、買ったときから株価が上がっていますが、下がっているものもあります。買ってみたはいいものの、非上場化や経営破綻した企業もあります。
それでも、1つひとつを精査したからといって、保有銘柄すべての株価が上がるわけではないですし、600銘柄も分散投資していると、ポートフォリオでの保有割合が1%を超える銘柄もそうはありません。

つまり、たとえ経営破綻が発表されたとしても、ほかの銘柄の値動きでカバーされるくらいの話なので、そこまで大きな痛手ではないのです。それが“超”分散投資のよい面でもあります。

ある程度の割合で含み損を抱えることは、仕方のないこと。そう腹を括ってしまえば、気分もラクです。

「銘柄研究が趣味のように楽しい」というような人をとがめる気はまったくありませんが、仕事が忙しくて、投資に時間を割けない人も多いと思います。

日ごろは仕事に集中し、それほど投資に注力しなくても資産を増やせる。これが私のやり方の強みだと思っています。

だからこそ私も、専業投資家とはいえ、平日の相場が開いている時間帯は、スポーツジムに行って汗を流せているのです。

かんちさんの投資手法は「握りっぱなし」。細かい銘柄分析をしない分、600銘柄と分散投資し、大きな痛手を負わないようにしています(イメージ写真)
かんちさんの投資手法は「握りっぱなし」。細かい銘柄分析をしない分、600銘柄と分散投資し、大きな痛手を負わないようにしています(イメージ写真)
ArtistGNDphotography via Getty Images

銘柄研究をしなくとも、徹底すべき「一つ」のこと


投資初心者にとっても、明確な判断指標があり、忙しくても問題なく投資できるこの手法は、とてもメリットが大きいと思います。高配当株を見つける5つのステップ自体も、頻繁にやる必要はありません。

そもそも業績はもちろん、PERもPBRもそう急激に動くものではないですから。もし、拙著『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)を読んでくれているあなたが仕事に追われているような状態にあったとしても、ひと月に1回くらい確認すれば問題ありません。

そのかわり、安値圏で買うことは徹底して欲しいと思います。

まずは買ってみて、少しずつ買い増しする


5つのステップで購入する銘柄を絞り込みますが、「何を買い増していくか」については、銘柄を選択するときほどのはっきりとしたステップはありません。

「主力株にしよう」と思って買い増す株もあれば、割安だから買い増していった結果、主力株になる銘柄もあります。

2024年1月段階での私の主力株は、20銘柄です。といっても“超”分散投資しているので、1銘柄3000株も保有していれば、主力株に入ってきます。いちばん多くても1万5000株程度です。
準主力株としては100銘柄ほど保有しています。投入資金からすると主力株は500万円以上、準主力株は150万円~500万円が基準です。

なお、基本は“握りっぱなし”とはいえ、業界のトレンドをみて「この業界は今後厳しいな」とか「株価が異常に上がりすぎだな」と思った場合には売却してしまい、主力株ではなくなることもあります。
私の主力株の1つであるイエローハット(9882)は、1株400円台で買い、その後600円台で買い増し、1700円台でも買い増しました。

 2024年8月12日現在、株価は2000円を超えていますが、1700円で買った分については、それほど含み益があるわけではありません。しかし、配当も優待もいいですから、十分に元はとれます。

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