
尻尾を振ったり、駆け寄ってきたりする犬に比べて、猫は愛情表現が少ないと感じる人もいるかもしれない。
犬のように、飼い主の匂いがする靴や靴下を盗むという猫もあまりいない。
それでも、飼い主に向かって伸びてきたり、身体を踏んできたりと猫にも愛情を示す方法はある。
その愛情表現に人間を「なめる」ことも含まれるだろうか?
「アログルーミング」の一種かも
PetMDによると、猫が人間をなめる理由について科学者の考えは一致していない。それでも有力な説の一つが「飼い主と親しくなるため」だという。
母猫が子猫をなめる、あるいは猫同士で毛づくろいする行為は「アログルーミング」と呼ばれる。
PetMDによると、アログルーミングは社会的な絆を強める行動で、人間に対しても、関係を深めるための愛情表現である可能性がある。
動物福祉慈善団体ブルークロスの動物行動学者クレア・スタラードさんも、猫はおそらくアログルーミングの一環として、人間をなめるのだろうとしている。
他にも、人間の注意を引こうとしている、肌の味を気に入っている(ローションやセルフタンニング、香水をつけている場合は注意が必要)、仲間の一員だと認識しているなどの理由が考えられているという。
一方で、ストレスや不安を示している場合もある。特に耳が頭に対して平らになっていたり、尻尾を振っていたりする時は、その可能性が高いという。
また、まれではあるものの、病気で気分が悪くてなめているという場合もある。猫が突然人間の体をたくさんなめ始めた時は、獣医に診てもらう方がよいだろう。
なぜ猫の舌はザラザラしているのか?
それにしても、なぜ猫の舌はザラザラしているのだろう。
米国科学アカデミー紀要に掲載された研究によると、猫の舌には「円錐状」ではなく「スコップ」のような形の突起がある。この突起で唾液をすくいとって毛の根元まで届け、体をきれいにしている。
この突起があるために、猫が人間をなめる時には、皮膚に引っかかるようなざらざらとした感覚を与えるのだ。
BBCサイエンスフォーカス によると、毛を整える理由の一つは、猫が単独で狩りをする動物で、獲物を捕らえる時に自分の匂いを消す必要があるからだと考えられている。
特殊な構造を持つ舌で毛を整えることで、自分の匂いを簡単に隠すことができる。
一方、犬は群れで狩りをするため、獲物や敵から自分の匂いを隠す必要があまりない。そのため、毛を整えることは犬にとって重要ではなく、舌はざらざらしていないと考えられている。
ハフポストUK版の記事を翻訳しました。