「どうか助けてください」「なぜ手を打たなかったの?」
これは、気候変動に十分な対策が打たれなかった「30年後」の世界を生きる人たちから、今を生きる私たちへのメッセージだ。
監査やコンサルティングなどを手がけるEYは「気候変動の影響を受けた異なる30年後の4つの世界」を描いた没入型体験イベント『FOUR FUTURES』を世界各国で開催している。
イベントで上映される動画では、気候変動の影響で気温上昇や火事、干ばつに苦しむ人による、痛切な「未来からの警告」がされている。
EY Japanの東京本社でも3月、4日間にわたり同イベントが開催され、関係企業のビジネスパーソンや学生など約250人が参加した。

気候変動の影響に苦しむ30年後の人々からのメッセージ
没入型体験イベント『FOUR FUTURES』はこれまで、オーストラリアやシンガポールなど18カ国や、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)で開催してきた。
5つのスクリーンと臨場感溢れるサウンドシステムで上映する動画では、国連や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の情報を元に、今から30年後である2055年の4つのシナリオを描いている。
気候変動対策に失敗したパターンから成功したパターンまで、「追加対策なし」「崩壊」「制約」「転換」の4シナリオの世界で暮らす人たちが、語りかけてくるという内容だ。
科学的な分析に基づいてつくられた動画では、シンガポールやカナダ、オランダで、気候変動の影響による火事や干ばつ、大気汚染、食糧難、飢餓、紛争、暴動、新ウイルスの蔓延に苦しむ人たちの姿が描かれている。

これらの現象は、実際に気候変動の影響により起こる、もしくは既に起こっている現象だ。
30年後は、決して遠い未来ではない。
今、10代の若者は40代、幼稚園に通う幼い子どももまだ30代だ。
データに基づいて作られた迫力ある動画は、気候変動は私たちが想像しているより遥かに近い未来に、生活に大きな影響を及ぼし始めると気づかせてくれる。
動画は「未来を変えるために今、あなたは何をすべきですか?あなたはどんな未来を選ぶ?」と問いかける。
「私たちは次の世代に、どんな社会を残せるか」

イベントでは動画の視聴後、参加者はワークショップで気候変動について話し合う。動画を見た率直な感想だけでなく、自分がどんなアクションを起こせるのかという議論も行った。
イベントのファシリテーションも行った、EY Japan 気候変動・サステナビリティ日本地域リーダーの牛島慶一さんは「気候変動の影響を実感できていない人にこそ見てほしい」とし、こう語った。
「同じ科学的なデータでも、ストーリーにして動画を観ることで、私たちの日頃の生活に繋がる身近なものとなります。
お子さんやお孫さんがいらっしゃる方、これから生まれてくるという方もいると思います。子どもたちの将来にどんな社会を残せるか、そのために何ができるのかと、皆で話すことがワークショップでの狙いです」
EY Japanは今後も、FOUR FUTURESを実施することを予定している。
(『FOUR FUTURES』の23秒版予告編動画)