
赤ちゃんウォンバットを母親から引き離して批判されたアメリカのインフルエンサーが、謝罪すると同時に、自らの行動の理由を説明した。
自らを「野生生物学者で環境科学者」と名乗る、インフルエンサーのサム・ジョーンズさんは、オーストラリアの路上で遭遇した赤ちゃんウォンバットを抱き上げ、走り去る動画をインスタグラムに投稿していた。
動画には同行者の笑い声や、赤ちゃんウォンバットの怯えたような鳴き声も記録されていた。また、心配そうに追いかけてきた母親ウォンバットが見て、ジョーンズさんは「お母さんが怒っている」と言っている。
ジョーンズさんは最終的に、赤ちゃんウォンバットを母親のいた道路脇に戻した。
動画はすでに削除されているものの、ジョーンズさんはキャプションに「ウォンバットを抱くという私の夢が叶いました!赤ちゃんと母親はゆっくりと茂みに戻っていきました」と書き込んでいたという。
オーストラリア首相も批判
ジョーンズさんの行動は、多くの人の怒りを招いた。オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は「ワニの赤ちゃんを母親から奪ってみたらどうでしょうか?反撃できる動物の赤ちゃんを奪ってみればいい」とジョーンズさんを批判した。
また、オーストラリア当局はビザ取り消しもしくは入国禁止措置を検討していたものの、AP通信によるとジョーンズさんは自らオーストラリアを離れた。
ジョーンズさんは3月14日、インスタグラムに声明を投稿。ウォンバットの赤ちゃんを抱き上げたのは、車にひかれないようにするためだったと主張した。
「路上で見つけた時に、母親と子どもは動いておらず、私はとても心配になりました。オーストラリアではウォンバットが道路で車にひかれることが多いのです。ウォンバットを道路から遠ざけ、ひかれないようにするために私たちは止まりました」
「動画に映っているように、赤ちゃんウォンバットは私が近づいても動かず、逃げようともしませんでした。病気やケガをしているのではないかと心配になり、抱き上げて確認しようとしました」
「私が走り去ったのは、子どもを母親から引き離すためではありません。母親に攻撃されるかもしれないと思ったからです。決して赤ちゃんウォンバットに危害を加えたり、奪ったりするための判断ではありませんでした」
ジョーンズさんは、赤ちゃんウォンバットの体を確認した後、すぐに母親のいた場所に戻し、2頭が一緒に道路を離れたことを確認したとも説明。
「今回の出来事から学びました。多くの人に不快な思いをさせたことを心から申し訳なく思っています」と謝罪している。
「この状況について深く反省し、もっと適切に対応すべきだったと気づきました。いずれにせよ、この素晴らしい動物が、私は車にひかれるのを防ぎ、赤ちゃんウォンバットに治療が必要ないか確認しようとしただけでした」
私は悪人なのでしょうか?
ジョーンズさんは別の投稿で、多くの殺害予告が届いたと訴えているほか、オーストラリア政府を「ウォンバットの虐殺を認めている」と批判した。
ジョーンズさんが指摘しているのは、野生動物が農作物などに損害を与えた場合、土地所有者にウォンバットを含めた動物の殺処分を許可する制度だと思われる。
ジョーンズさんは「首相は、ウォンバットを抱き上げた私はひどい目に遭えばいいと願っているようですが、私は何万人もが直面している電力不足や野生動物の扱われ方など、オーストラリアで本当に起きている問題に、しっかりと目を向けてほしいと願っています」とつづっている。
「その上で判断してください。過ちを犯してしまう人間である私が、本当に悪人なのかどうかを」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。