
気温の高まりと共に、スギ花粉の大量飛散がすでに始まっています。今年の飛散量は昨年の1.5倍と予想され、花粉症の方の直接的な体調不良はもちろん、干した洗濯物に付着した花粉はさらなる症状の悪化をもたらします。
花粉飛散に加えて、冬から春への季節の変わり目は雨も降りやすくなるので、部屋干しをと考えている方も少なくないようです。
部屋干しした洗濯物を早く、臭いを抑えて乾かすためにはどうすればいいのか。干し場所の選び方などのポイントや“裏ワザ”などについて、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート(福島県須賀川市)の鈴木和幸代表に伺いました。
花粉シーズンはできる限り外干しを控える
この先、天候自体は穏やかになり“洗濯日和”の日が増えてきそうですが、半面で特に花粉症の方には外干しの際の花粉の付着が心配な時季でもあります。付着予防のために、注意すべき点にはどのようなものがありますか。
「外干しした洗濯物を室内へ取り込む際に、念入りに花粉を振り落したつもりでも、完全な除去は不可能です。花粉シーズンには洗濯に取り掛かる前に、通常の家庭用洗剤だけでなく、柔軟剤を併用することが付着予防につながります。
市販の柔軟剤には洗濯物に花粉が付着する大きな原因である、静電気の発生を防ぐための陽イオン系界面活性剤成分が含まれているからです。
この成分は繊維同士の摩擦による引っ掛かりを少なくして、肌触りをよくするために用いられますが、摩擦の減少によって静電気の発生も抑えられます。
ただし、柔軟剤を併用して洗濯しても、花粉が飛散している屋外に洗濯物を干すと再度付着してしまうことは避けられません。できる限り外干しは控えて、部屋干しにすることをオススメします」(鈴木さん)
早く乾かすには「空気の動きがある場所」
部屋干しの場合、どうしてもイヤな臭いが気になってしまいます。
「イヤな臭いの原因は、洗濯しても落としきれなかった雑菌類や汚れ、カビなどです。菌の繁殖を防ぐには、『できる限り早く乾かすこと』が大切です。そのためには『できる限り空気の動きがある場所に干す』ことが、第一のポイントといえるでしょう。
部屋干しした洗濯物のまわりの空間をできる限り広く確保すればするほど、風通しがよくなります。湿気の多い空気が湿気の少ない乾いた空気に交換されやすくなり、乾くのにかかる時間も短くなります。
広いスペースが確保しにくい場合は、部屋干しした洗濯物に扇風機やサーキュレーターで風を当てるといいでしょう。首振り機能を使うと、さらに効果的です。空気の循環効率が高まることで、洗濯物の乾きが早まります。エアコンがある部屋でしたら、送風機能に加えて除湿機能を用いてください」(鈴木さん)
部屋の中央のできるだけ高い位置がオススメ
具体的に、リビングなど室内で部屋干しに適した場所はどのあたりになるのでしょうか。
「部屋干しはできるだけ床から離した高い位置の、窓際や壁際から離して干してください。部屋の中央や、部屋と部屋、部屋と廊下の間にあたる鴨居などで行うようにするといいでしょう」(鈴木さん)
日光が当たって乾燥が早まる気がする窓際も含めて、壁際や部屋の低い位置の部屋干しを避けた方が良いのは、どんな理由からでしょうか。
「まず、冷たい空気は床近くの低い位置にたまりやすく、あたたかい空気は高い位置にたまりやすい性質をもっています。そのため、できるだけあたたかい高い位置の方が、乾きやすくなります。
また、湿度も低い方に溜まりやすいため、床近くは湿度が高めです。湿度が高いと乾きが遅くなってしまうので、より高い位置に干すのが良いでしょう」(鈴木さん)
部屋の窓際や壁際はなぜNGなのでしょうか。
「空気の流れは部屋の窓際や壁際の方が悪く、中央の方がより空気が動きやすいためです」(鈴木さん)

「窓際のカーテンレールに干す方も少なくありませんが、洗濯物にカーテンの汚れが付いたり、洗濯物の水分がカーテンに移ったりする可能性も生じます。
日光に当てることは確かに乾燥効果を高めますが、カーテンのそばでなく、開いたときに日光が届く範囲の、なるべく部屋の中央に近い位置に干すようにしましょう。
部屋干しの際、洗濯物の間隔はフードやポケットなどの布地同士が重ならないように、できるだけ広く取って風通しをよくします。最低10cm程度の間隔があると、より乾きやすくなります」(鈴木さん)
手軽にできる早く乾燥させるテクニック
そのほか、部屋干しした洗濯物を早く乾かす“裏ワザ”には、どのようなものがありますか。
「脱水のときに乾いたタオルを入れると、タオルが水分を吸った分、ほかの洗濯物の水分が少なくなって乾きやすくなります。
また、干すときに洗濯物の下に古新聞を敷くと、除湿器の役割を果たしてくれます。ピンチハンガーで吊るすときは上にも新聞紙を挟み込むと除湿効果が増します。
布の厚い服などは、裏返して干すと、早く乾かすことができるうえに、表面の生地が擦れないので傷みにくくなります。脱いだときに裏返したままにしておけば手間が省けるのでオススメです。
さらに、長いものを両端、短いものを真ん中に吊るす干し方の『アーチ干し』だと、洗濯物の中に空気の流れが作られて洗濯物が早く乾きます。
他にも、ときどき洗濯物の上下を入れ替えたり、乾いた洗濯物を取り外して空間を増やすと乾きやすくなるので、部屋干し後も家にいる場合は試してみるといいでしょう」(鈴木さん)
春の気配と同時に、花粉シーズンも近づいてきました。効果的な部屋干しのテクニックを活用して、花粉症予防に努めましょう。
【関連記事】