
アメリカ・バージニア州で3月4日に開催された高校陸上選手権のリレー競技で、選手の一人がライバルの頭をバトンで殴り、物議を醸している。
殴られたブルックビル高校のケイレン・タッカー選手は、コーナーで前の選手を追い抜いた際に、後ろからバトンで頭部を殴られた。
タッカー選手は衝撃でバランスを崩して転倒。その後、脳震盪と診断された。
タッカー選手は「何が起きたのか理解できなかった」と、地元テレビ局WSETに語っている。
「頭を殴られたことだけはわかりました。そのままトラックの外で倒れてしまいました」
母親のタマロ・タッカーさんは、「私が一番納得できなかったのは、謝罪が一切なかったことです」とWSETに話した。
「コーチや選手、誰からも。私は(バトンが当たったのは)偶然だとは思いませんが、たとえ偶然だったとしても、何の言葉もなかったのです」
一方、叩いた側であるICノーコム高校のアライラ・エヴァレット選手は、故意ではなかったと訴えている。
エヴァレット選手は「距離が近すぎてバランスを崩したために、偶然当たってしまった」と地元局WAVYの取材に語った。
「彼女が私のすぐ近くにいたのでバランスを崩してしまい、腕を振ったときに当たってしまったんです」
また、レース後にタッカー選手の様子を確認しようとしたものの、周囲の人々が対応していたため邪魔にならないよう声をかけず、コーチからもそうするよう言われたと述べた。
さらに、「自分は故意に誰かを傷つけるような人間ではない」と訴え、SNSで攻撃や脅迫されていると涙を流しながら明かした。
「動画では、意図的に見えてしまうとは思います。でも、私は自分のやったことをわかっています。嫉妬で誰かを故意に殴るなんて、絶対にしません」
「私は今までケンカをしたこともないし、ずっと優等生でした。それなのに、たった9秒の動画を見て人格を決めつけられています。たった9秒の動画のせいで、貧民層と罵られ、人種差別的な言葉を浴びせられ、殺害予告までされています」
エヴァレット選手の母親も、故意に誰かを傷つけるよう子ではないとWAVYの取材に強調した。
一方、エヴァレット選手が所属するICノーコム高校は競技直後に失格になった。
州公立高校のスポーツを統括するバージニア高校リーグは、この問題について「選手の安全に関わる出来事であり、徹底的に調査する」とハフポストUS版の取材に述べた。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。