「5人に3人が食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」ーー。消費者庁は3月6日、「風評に関する消費者意識の実態調査」の結果を発表した。
風評の防止に向けて、食品の安全に関する情報提供、科学的な説明、産地や産品の魅力発信といった回答が多く挙げられたという。
「放射性物質の含まれていない商品を買いたい」が11.4%
調査は2013年から継続して行われており、今回で18回目の調査となった。1月15〜17日、インターネット上で5176人(20〜60代)を対象に実施。東日本大震災の被災地域(岩手県、宮城県、福島県、茨城県)と都市部(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県)に居住する人が回答した。
まず、「普段の買物で食品を購入する際、その食品がどこで生産されたかを気にするか」という質問では、「気にする」が18.8%(975人)、「どちらかといえば気にする」が36.4%(1886人)だった。
「気にする」「どちらかといえば気にする」と答えた人にその理由を尋ねると、「産地によって品質(味)が異なるから」が最多の23.3%(1205人)だった(複数回答可)。
続いて、「産地によって鮮度が異なるから」が20.1%(1039人)、「産地によって価格が異なるから」が19.5%(1010人)などで、「放射性物質の含まれていない商品を買いたいから」は11.4%(590人)だった。
放射性物質の含まれていない食品を買いたいと答えた人に「ためらう産地」について質問したところ、「福島県」が6.2%(320人)、「被災地(岩手、宮城、福島の3県)を中心とした東北」が5.2%(271人)だった(複数回答可)。
この質問で「福島県」と回答した割合は、第1回(2013年)の19.4%から減少傾向にあるが、前回(4.9%)より1.3ポイント増加した。「被災地を中心とした東北」と回答した人も前回(3.4%)比1.8ポイント増という結果だった。

食品中の放射性物質検査「知らない」65.0%
また、「食品中の放射性物質の検査」について聞いたところ、検査が実施されていることを「知らない」と回答した人は、65.0%(3362人)に上った(複数回答可)。
一方、「基準値を超える食品が確認された市町村では他の同一品目の食品が出荷・流通・消費されないようにしている」ことを知っている人は18.5%(957人)、「食品中の放射性物質の検査は東日本の17都県を中心に実施されている」ことを知っている人は9.8%(505人)にとどまった。
「放射線による健康影響が確認できないほど低い線量のリスクをどう受け止めるか」については、「十分な情報がないため、リスクを考えられない」が最多の34.6%(1792人)だった。
続いて、「基準値以内であれば、他の発がん要因(喫煙、過度の飲酒、塩分摂取など)と比べてもリスクは低く、現在の検査体制の下で流通している食品であれば受け入れられる」が33.8%(1751人)、「放射性物質以外の要因でもがんは発生するのだから、殊更気にしない」が18.9%(979人)、「基準値以内であっても少しでも発がんリスクが高まる可能性があり、受け入れられない」が12.1% (624人)だった。
「風評を防止するために行うべきこと」で最多だったのは、「それぞれの食品の安全に関する情報提供」で41.7%(2159人)だった(複数回答可)。
「食品に含まれる放射性物質に関する科学的な説明」が30.5%(1579人)、「それぞれの食品の産地や産品の魅力に関する情報提供」が27.0%(1396人)と続いた。
調査結果を受け、消費者庁は「食品中の放射性物質に関する情報発信や、福島県を中心とした被災地の農林水産物の魅力などを広く伝えていく取り組みを推進する」としている。
