知ってる?「早い」「速い」と書き分けるのに、「遅い」だけしかない理由。埼玉の県立図書館の回答が興味深い

国会図書館などの協同事業「レファレンス協同データベース」が、漢字の書き分けに関する質問や回答を紹介。「こんなことまで教えてくれるの」と関心を集めています。
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west via Getty Images

国立国会図書館と全国の図書館などの協同事業「レファレンス協同データベース」が2月28日、Xのアカウントを更新。埼玉県立久喜図書館に寄せられた漢字の書き分けに関する質問や同館の回答を紹介し、「こんなことまで教えてくれるの」と話題になっています。

質問の内容は以下の通り。

『はやい』という言葉は『速い』『早い』と意味に応じて漢字の書き分けできるが、『おそい』はslowとlateの違いを漢字で書き分けができないのはなぜか知りたい

速度や時間が「おそい」場合、漢字で表すとなぜ「遅い」だけなのか、という疑問でした。

slowとlateの書き分けがない理由

レファレンス協同ベースの公式サイトは、久喜図書館の回答を紹介しています。『文字表記と日本語教育』(武部良明著 凡人社 1991)を引用しながら、異字同訓の漢字の書き分けについて説明

当時の当用漢字音訓表の改定にあたり「『抱・いだく』『遅・おそい』が採用されながら、『懐・いだく』『晩・おそい』は採用されなかった。それは、『懐く→抱く』『晩い→遅い』でよい、と考えられたからである」と紹介しています。

時間が「おそい」場合は、「晩い」と表現していたようですが、改定で「遅い」に統合された様子です。 

さらに『言葉に関する問答集 8』(文化庁 1982)も文献として取り上げています。

「同訓の漢字についても、書き分けるだけでなく、統合や書き換えが行われている」と引用し、その例である「おそい 巧遅(巧みで遅い)・晩春(晩い春)→遅い春」という記述を紹介。

「例えば(中略)『晩い』を(中略)『遅い』に書き換えたと考えてもよいのである」と引いています。

投稿を見たユーザーからは「こういうのめっちゃ興味ある」「昔は晩い(おそい)という表現があったのか」「こんなことまで教えてくれるの」などのコメントが寄せられました。

【訂正:2025/0304/15:50】タイトルや本文を修正しました。「国会図書館の回答」などとしていましたが、正しくは「埼玉の県立図書館の回答」などでした。

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