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少しずつ春の気配が感じられるようになりましたが、まだまだ朝晩の冷え込みはしばらく続きそうです。冷えた体を温めて、心地よい夜の眠りを迎えるためには、お風呂でゆっくり温まりたいですね。
日頃から“快適な入浴”をと、浴槽や浴室の隅など汚れの目立つ箇所は丹念に掃除がなされているはずです。けれど、意外と見逃されやすいのが浴室ドアの汚れで、掃除もおろそかになってしまいがちです。
浴室ドアにはどんな汚れが付きやすいか、汚れの種類別の掃除方法などについて、おそうじ本舗の技術アドバイザー・尾崎真さんにプロのテクニックを教えて頂きました。
浴室ドアに付くのはどんな汚れ?
浴室ドアに付きやすい汚れには、どんな種類のものがありますか。
「まずはホコリです。日々の生活のなかでもホコリは気付かないうちに溜まりがちな汚れですが、とくに浴室ドアには溜まりやすい理由があるのです。
浴室には換気扇が必需品ですが、作動させると隣り合った洗面所側の空気は浴室側に吸い込まれるように流れていきます。そのとき、洗面所内に舞っていたホコリが空気の流れによって集まり、浴室ドアの外側に溜まっていくのです。
洗面所に洗濯機を置くご家庭も多いと思いますが、洗濯物から出たホコリも一緒に集まり流れていくので、浴室ドア外側の汚れを増やす原因になります。
ドア下部の「ガラリ」と呼ばれる通気口も、ホコリが溜まりやすい箇所です。換気扇はガラリを通じて湿気を浴室外に逃がすと同時に、外の空気を取り込むことで換気の働きをしています。
換気扇を回したときに、空気と一緒に取り込んでしまったホコリがガラリの隙間に付いてしまうのです。通気口にホコリが溜まると換気の効率が悪くなり、浴室内の乾燥に時間がかかってしまいます。
サッシ、とくに溝になっているレール部分もホコリが落ちて溜まりやすく、汚れが付きやすい箇所のひとつです」(尾崎さん)
ホコリ以外に、浴室ドアに付きやすい汚れはありますか。
「浴室ドアやガラリの内側、サッシ・レールには、体を洗うときに飛び散ったせっけんのカスやボディーソープ・シャンプーの泡、皮脂汚れが付着しやすい箇所です。これらの汚れを放置しておくと、ピンクヌメリやカビの原因になってしまいます。
とくに黒カビは深く根を張り、ホコリなどの汚れをエサにして繁殖するため、いちど発生してしまうと取り除くのが大変です。浴室ドアの内側に黒い点のような汚れを見つけたら、早めに除去してください。
浴室ドアに水滴がついた状態で放置しておくと、水分だけが蒸発して、水道水に含まれるミネラル成分が白いウロコのような水アカとして残ってしまいます。こまめな掃除を心がけてください」(尾崎さん)
重要なアイテムはクエン酸スプレー
浴室ドアの掃除に必要なアイテムには、どのようなものがありますか。
「準備しておくものとして、隙間ノズルを取り付けた掃除機と歯ブラシ、浴室用洗剤とスポンジ、ラップとタオルがあります。
とくに重要なアイテムがクエン酸スプレーです。クエン酸スプレーは100円ショップなどでも購入できますが、自宅でも簡単に作れます。
スプレーボトルにクエン酸(小さじ1杯)と水(200cc)を入れ、よく混ぜるだけです。なお、手作りのクエン酸スプレーは、2〜3週間で使い切るようにしてください」(尾崎さん)
浴室ドアの掃除方法
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「浴室ドアの掃除の手順は、次のとおりです。
(1)ドア全体の乾いたホコリを取り除く
「隙間ノズルを付けた掃除機で、ドア周りやガラリの外側、サッシ・レールなどについたホコリを吸い取ります。歯ブラシを使って、ガラリの隙間など細かい部分のホコリもかき出してください」(尾崎さん)
(2)ドア内側のせっけんカスと皮脂汚れを落とす
「ドアの内側のガラス・アクリル面やガラリ、サッシ・レールなどを中心に浴室用洗剤を吹きかけます。さらにスポンジや歯ブラシを使って洗剤を隙間なくと塗り、2分ほど放置してください。その後、しっかりと擦り洗いをして、シャワーで洗い流します」(尾崎さん)
(3)ドアについた水アカを落とす
「白い水アカが付着している部分にクエン酸スプレーを吹きかけ、ラップでパックします。5〜10分放置して汚れが浮いてきたら、歯ブラシやプラスチック製のカードなどで水アカを削り落としてください。歯ブラシは毛先を半分ほどカットするとコシが強くなり、汚れが落ちやすくなります。
汚れを取り除いたら、クエン酸の成分が残らないように水でしっかりと洗い流し、タオルで拭き取ります。排水溝の中も忘れずに洗い流してください」(尾崎さん)
浴室ドアを外した方が掃除しやすいと感じるかもしれませんが、浴室ドアは重いので、転倒してケガをする可能性もあるため、外すのは避けたほうが良いといいます。
「外すのに失敗した場合にパーツ破損で修理が必要になったり、ドアをまるごと取り換えなければならなかったりする可能性もあります」(尾崎さん)
パッキンのカビを除去するには?
カビが発生しやすいパッキンの掃除には塩素系のカビ取り剤を使います。
「ただし、クエン酸と塩素が混ざると有毒な塩素ガスが発生するので、大変危険です。排水溝にもクエン酸の成分が残っている可能性があるので、十分に洗い流しておいてください。必ず換気扇を回し、ドアと窓も開けておきます。
ゴム手袋やマスク、保護メガネなどを着用して、カビ取り剤が目や皮膚に付かないようにしてください。
そのうえで、パッキンの表面を乾いたタオルで拭いて乾燥させ、水分を吸収しやすくしてからカビ取り剤を塗ってください。10分ほど漬け置きしたあと、水で洗い流します。
パッキン以外の塗装面などにカビ取り剤が付くと、変色したり塗装が剥がれたりする可能性があります。十分注意してください。
入浴後の“ひと手間”で掃除を楽に
浴室ドアの掃除を楽にするポイントがあれば、教えてください。
「入浴後に“ひと手間”で掃除も楽になります。シャワーで浴室ドアの内側についた皮脂やせっけんカスを洗い流しましょう。お湯で汚れを落とし、水をかけて温度を下げるとカビが発生しにくくなります。
浴室ドアをキレイに保つには、浴室の乾燥・換気を徹底することも大切です。換気扇をなるべく長い時間稼働させて、浴室の空気を循環させましょう。ドアや窓を開放しておくと換気効率が上がり、早く乾燥させられます。浴室乾燥機があれば、2時間ほど運転してください」(尾崎さん)
見逃しがちな浴室ドアの掃除ですが、日頃からの汚れ予防と掃除テクニックでキレイに保ち、より快適なお風呂でのひとときを楽しみましょう。
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