除染土の県外最終処分「復興のために重要と強く主張すべき」。福島県議が一般質問、知事の回答は

「除染土」を巡る福島県知事の見解は。県議会2月定例会で議員が一般質問。【シリーズ「除染土と県外最終処分」】

東京電力福島第一原発事故後に出た「除染土」を巡り、福島県の内堀雅雄知事は2月27日、「県外最終処分の実現に向け、国民の理解を深めながら政府一丸となって更なる取り組みを加速させるよう国に対して求めていく」と述べた。

県議会2月定例会で、渡辺康平県議(自民党)の「除染土の県外最終処分が復興を進めるために重要な過程であることを強く主張すべき」という一般質問に回答した。

広大な面積の中間貯蔵施設
広大な面積の中間貯蔵施設
Keita Aimoto

野党の国会議員ら7人が反対集会に出席

渡辺県議は冒頭、環境省が除染土の県外最終処分に向けた2025年度以降の工程案を示したことに触れ、「法律で定められた2045年年3月までの県外最終処分に向けた道筋は明確化されていない」と指摘。

「大切なことは全国的な理解醸成であり、福島につくられた中間貯蔵施設は決して『最終処分場』にはならないということだ」と話した。

また、除染土の県外最終処分や再生利用について、野党の国会議員ら7人が「あなたのまちに放射能汚染土がやってくる」などと反対する集会に出席していたことを明かし、「除染土は福島にとどめておけ」という“無神経な主張”も聞かれると語った。

この無神経な主張については、渡辺県議は『双葉と大熊を最終処分場にしろ』『あなたたちは地元には帰るな』と言っているに等しい」と批判。その上で、「除染土は汚染土ではないと即座に反論し、県外最終処分が復興を進めるために重要な過程であることを強く主張すべきだ」と県側に求めた。

内堀知事はこれに対し、法律に明記された除染土の県外最終処分の期限までは残り20年しかないと説明し、「国には県外最終処分に向けた取り組みを加速させるよう求めてきた」と答えた。

さらに、県外最終処分に関する認知度が県外で約2割だったとする環境省の調査に触れ、「国民の理解を十分とは言えない。除染土の県外最終処分は国の社会的責務であり、日本全体の問題。国民の理解を深めながら政府一丸となって更なる取り組みを加速させるよう国に対して求めていく」と述べた。

東京電力福島第一原発事故後の「除染」で発生した除染土などは、福島県内各地の仮置き場に保管された後、2015年3月から双葉・大熊両町にある中間貯蔵施設(約1600ヘクタール)に運び込まれている。

その量は「東京ドーム約11杯分」(約1400万立方メートル)。これにより、仮置き場も約1370カ所から約110カ所に縮小し、福島全体の復興が進展した。

一方、重要なのは「中間貯蔵施設は決して『最終処分場』にはならないということが法律に明記されている」ということだ。

原発事故で避難を余儀なくされ、先祖代々受け継いできた土地や家屋を一時的に手放す決断をした人もいる。福島はすでに重すぎる負担を背負っていることから、国は2045年3月までに除染土を県外で最終処分すると約束している。

そのため、環境省は除染土の最終処分量を減らそうと、安全に処分できる除染土(放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下)を道路の盛り土などの公共事業に再生利用する計画を立てている。

再生利用については、中間貯蔵施設内や飯舘村長泥地区で行われている実証事業を通じて安全性が確認されており、国際原子力機関(IAEA)も除染土の再生利用や最終処分に関する取り組みは安全基準に合致しているとしている。

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