妊娠8カ月のパレスチナ人女性がイスラエル兵に殺害される。ヨルダン川西岸での軍事作戦で民間人も犠牲に

お腹の子どもは助からず、夫も重傷を負ったという。爆発物で家のドアを破壊された21歳の女性も死亡した
ヨルダン川西岸のヌル・シャムス難民キャンプで、イスラエル軍の襲撃中に避難するパレスチナ人を支援する赤新月社の隊員(2025年2月10日)
ヨルダン川西岸のヌル・シャムス難民キャンプで、イスラエル軍の襲撃中に避難するパレスチナ人を支援する赤新月社の隊員(2025年2月10日)
ZAIN JAAFAR via Getty Images

イスラエルの軍事支配下に置かれているパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で2月9日、パレスチナ人3人がイスラエル軍によって殺害された。パレスチナ保健省の発表としてAFPなどが報じた。

犠牲者の1人スンドゥス・ジャマル・モハメド・シャラビさんは妊娠8カ月で、お腹の子どもは助からず、夫も重傷を負ったという。

ロイター通信によると、パレスチナ国営通信は「シャラビさんと夫は、ヨルダン川西岸の北部にあるヌール・シャムス難民キャンプで自宅を出ようとした際に銃撃された」という目撃者の証言を伝えている。

パレスチナ保健省は、女性は病院に到着時に死亡しており「(イスラエルの)占領軍が負傷者の病院への搬送を妨げたため、医療チームは赤ちゃんの命を救うことができなかった」と説明している。

ロイター通信によると、イスラエル軍は、この事件について軍警察の犯罪捜査部門が調査を進めていると発表した。

パレスチナ保健省は、他にも21歳と20歳のパレスチナ人も犠牲になったとしている。

このうち21歳の女性はイスラエル軍によって爆発物でドアを破壊された際に殺害されたという。

イスラエル軍は、「武装勢力の捜索のために住人に建物から出るよう呼びかけたものの、出てこなかったため、軍がドアを破壊しその際に女性が死亡した」と説明。「民間人に被害が及んだことを遺憾に思う」とコメントしている。

ヌル・シャムス難民キャンプで爆弾を爆発させるをイスラエル軍(2025年2月9日)
ヌル・シャムス難民キャンプで爆弾を爆発させるをイスラエル軍(2025年2月9日)
via Associated Press

ヨルダン川西岸での軍事作戦を強化するイスラエル軍

イスラエル軍はガザでの停戦が1月19日に発効した後、軍事支配下に置くヨルダン川西岸地区の北部ジェニンなどでの軍事作戦を強化させている。

イスラエルは、この攻撃を対テロ対策の「大規模かつ重大な軍事作戦」と呼んでいるが、子どもも含めた多くのパレスチナ人が犠牲になっている。

イスラエル軍はヌル・シャムス難民キャンプで銃や爆発物の使用に加えて、ブルドーザーを使って建物を破壊するなどしており、多くのパレスチナ人が避難を余儀なくされている。

パレスチナ保健省によると、ヨルダン川西岸では2025年だけで少なくとも70人が殺害された。

また国連人道問題調整事務所(OCHA)は、2023年1月以降少なくとも224人のパレスチナ人の子どもがイスラエル軍や入植者によって殺害されたとしている。

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