「DEIは脅威ではなくギフト」グラミー賞スピーチでクィアや移民の権利を訴えたアーティストたち

レディー・ガガさんからアリシア・キーズさんまで。有名アーティストがトランプ大統領の政策を批判。どんな内容か見てみましょう。
左からシャキーラさん、レディー・ガガさん、アリシア・キーズさん
左からシャキーラさん、レディー・ガガさん、アリシア・キーズさん
Getty images

アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで2月2日、第67回グラミー賞授賞式が開催された。トランプ大統領が再び就任してから初めてのグラミー賞。性的マイノリティの権利を否定し、移民の取り締まりを強化するなどの政策で国に動揺が広がる中、連帯のメッセージを送るアーティストの姿も見られた。

いったいどんな内容だったのか。

レディー・ガガさん「トランスジェンダーは透明な存在ではない」

レディー・ガガさん=第67回グラミー賞授賞式、2025年2月2日
レディー・ガガさん=第67回グラミー賞授賞式、2025年2月2日
Gilbert Flores via Getty Images

ブルーノ・マーズさんとのコラボ曲「Die With a Smile」で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞したレディー・ガガさんは、「トランスジェンダーは透明な存在ではありません。愛されるに値する人々です。クィアコミュニティは支援に値します。音楽は愛です」スピーチし、観客から大きな拍手が送られた。

トランプ大統領は就任演説で「性別は男性と女性の2つのみ」と宣言。その後、19歳未満のトランスジェンダーの子どもへの性別適合手術などの一部医療を制限する大統領令に署名し、トランスコミュニティでは不安が広がっている。

アリシア・キーズさん「DEIは脅威ではなく、ギフト」

アリシア・キーズさん=第67回グラミー賞授賞式、2025年2月2日
アリシア・キーズさん=第67回グラミー賞授賞式、2025年2月2日
Kevin Mazur via Getty Images

音楽だけでなく起業家としての実績や慈善活動などで世界に影響を与えた人に贈られる「Dr. Dreグローバルインパクト賞」を受賞したアリシア・キーズさんは、「多様な声を押しつぶす時ではありません。私たちはこの舞台で、さまざまな背景や視点を持つ才能ある勤勉な人々を見てきました。彼らの声は変革をもたらします。DEIは脅威ではなく、ギフトなのです」と受賞スピーチの中で語った

DEI(多様性、公平性、包括性)推進に批判的なトランプ大統領は、関連プログラムの廃止に圧力をかけており、すでに連邦政府のDEI関連部署の職員らは「休暇」に追い込まれている。

こうした動きは民間企業にも広がっており、マクドナルドやMeta社もDEIに関する方針の変更を発表している。

シャキーラさん「この賞を、この国の移民の皆さんに捧げる」

シャキーラさん=第67回グラミー賞授賞式、2025年2月2日
シャキーラさん=第67回グラミー賞授賞式、2025年2月2日
Christopher Polk via Getty Images

「最優秀ラテンポップアルバム賞」を受賞した南米コロンビア出身のシャキーラさんは、「この賞を、この国の移民の皆さんに捧げます。あなた方は愛されていて、その価値があります。私はあなた方とずっと一緒に闘います」スピーチで述べた。

トランプ大統領は「史上最大の強制送還作戦」を掲げており、就任後は各地で滞在資格を持たない移民の大量摘発が行われている。南部国境エリアでは非常事態宣言を発令し、軍を追加派遣することも発表している。

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