ドナルド・トランプ大統領に「政府効率化省(DOGE)」のトップに指名されたイーロン・マスク氏が、連邦政府の規制をすべて撤廃すべきだとXの音声配信で主張した。
マスク氏は2月3日午前0時頃に開いたXのライブ配信「スペース」で、「規制は基本的にデフォルトで廃止すべきだ」という持論を展開。
「規制はデフォルトであるのではなく、デフォルトでなくすべきものだ。もし規制撤廃が間違いだったとわかれば、いつでも復活させられる」と述べた。
「こうした規制は、常に行き当たりばったりで追加されている。大々的に規制の『春の大掃除』を行い、政府が一般市民の邪魔をするのをやめるべきだ。そうすれば、人々はやるべきことをやれる」
「政府が何百万もの規制で国民を縛り付けているのであれば、それは自由ではない。我々は自由を取り戻さなければならない」
マスク氏がホストを務めたスペースには、マスク氏とともにDOGEトップに指名されたが、その後離脱した起業家のヴィヴェック・ラマスワミ氏も参加。
ラマスワミ氏はマスク氏に同意し、トランプ氏が大統領選挙に勝利し、最高裁で保守派判事が多数派を占めている今なら「実現可能だ。可能になった」と主張した。
マスク氏も「もし今できないなら永久にできない。これは我々に与えられたチャンスだ。これ以上の好機は二度とこない。この絶好の機会を活かさなければ、もう実現できない。だからやるんだ」と述べた。
連邦政府の規制は、汚染物質の管理や建設の安全基準、銀行に求める要件など多岐に及ぶ。
世界一の富豪で、Xやテスラ、スペースXのCEOであるマスク氏が規制を自由に撤廃できるようになれば、本人にとって莫大な利益を得るための絶好の機会になるだろう。
国際開発庁の閉鎖に関与したとも主張
マスク氏はスペースで、国際開発庁(USAID)の閉鎖に関与したと示唆する発言もした。
USAIDは世界各地で人道支援などを行う連邦政府の独立機関だ。
トランプ氏は海外援助や開発支援は無駄だと主張しており、就任後には数十億ドル規模の人道支援などへの資金提供を停止した。USAIDの公式サイトは2月1日に突然閲覧できなくなり、Xアカウントも停止されている。
マスク氏は3日のスペースで、USAIDを「腐敗したウジ虫の塊」と呼び、同庁を「閉鎖しようとしている」「閉鎖すべきだという意見にトランプ氏も同意した」と述べた。
また、スペース終了後には「週末をかけてUSAIDをウッドチッパーに放り込んだ」とXに投稿した。
USAIDは法律に基づいて設置された機関で、行政府が議会の承認を得ないまま閉鎖できるのかどうか、法的な疑問が残る。
しかしトランプ氏は3日、「USAIDの閉鎖に議会の承認は必要ない」と記者の質問に答えた。
現在、USAIDの高官数十人が休職処分になっているほか、数百人が庁のコンピューターシステムへのアクセスを遮断されている。
AP通信は、マスク氏の側近が庁のセキュリティ担当者の反対を押し切る形でUSAIDの機密情報にアクセスし、セキュリティ担当者らも休職処分となった、と報じている。
USAIDを巡る混乱が続く中、マルコ・ルビオ国務長官は3日、自らが同庁トップ代理を務めると発表した。
政府を掌握する動きを見せるマスク氏
マスク氏は、トランプ氏が大統領に就任してから10日余りの間に、行政府内の様々な機関を掌握するような動きをみせている。
ロイター通信によると、マスク氏の側近チームが人事管理庁に乗り込み、連邦職員の個人情報を含む人事データベースにアクセスした。
この側近チームは、幹部のシステムへのアクセスを禁止したほか、必要とされるプライバシー影響評価を実施しないまま、独自の商用サーバーを設置したとも伝えられている。
また、ニューヨーク・タイムズなどの報道によると、マスク氏の側近チームは、財務省の連邦支払いシステムへのアクセス権も与えられた。このシステムを監督していたキャリア官僚は、マスク氏のチームのアクセスを拒否した後に休職処分になり、退職した。
しかし、停止された支払いは議会と大統領に承認された可能性が高く、「議会予算・ 執行留保統制法(Impoundment Control Act)」に違反する可能性があるとも指摘されている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。