マスク氏の敬礼を司祭が真似る⇒資格取り消しに。ナチス式と批判された行動を「ジョーク」と釈明

司祭は「リベラルを皮肉るためのジョーク」と説明しましたが、教会は「有害で、分裂を招く」と問題視しています
トランプ氏の大統領就任イベントでスピーチをしたイーロン・マスク氏。ナチス式敬礼のようなポーズが物議を醸した(2025年1月20日)
トランプ氏の大統領就任イベントでスピーチをしたイーロン・マスク氏。ナチス式敬礼のようなポーズが物議を醸した(2025年1月20日)
ANGELA WEISS via Getty Images

米ミシガン州の司祭が、「ナチス式敬礼にそっくりだ」と批判されたイーロン・マスク氏のジェスチャーをまね、聖職者としての資格を取り消された。

資格を取り消されたのはカルヴィン・ロビンソン氏。

1月25日にワシントンD.C.で開かれた「全国プロライフ・サミット」で、マスク氏の敬礼を模倣。その様子がソーシャルメディアで拡散された。

これを受けてアングリカン・カトリック教会(ACC)は29日、ロビンソン氏を司祭の職から解任し、同教会で奉仕する資格を取り消したと発表した。

教会は資格取り消しについて「冗談だったとしても、ナチス式敬礼の模倣はホロコーストの恐怖を矮小化し、加害者と闘った人々の犠牲を軽んじる行為です。有害で、分裂を招き、キリスト教の慈愛の教えにも反する」と説明している。

また「ホロコーストは邪悪な者たちによって引き起こされた言葉にできないほどの恐怖であり、ナチスのイデオロギーおよびあらゆる形の反ユダヤ主義を断固として非難します」とも述べている。

批判を招いたマスク氏の敬礼

マスク氏は1月20日に行われたトランプ氏の大統領就任イベントで、右手を胸にあてた後、手の平を下に向けた状態でまっすぐ前方に突き出す動作をした

この行動はナチス式敬礼にそっくりだと批判されたものの、マスク氏は「ありとあらゆる人を『ヒトラーだ』とする攻撃は、もうんざりだ。もっとマシな汚い手を考えた方がいい」とXで反論した。

ロビンソン氏もFacebookで、自分はナチス支持者ではなく、サミットでのジェスチャーは「リベラル派を皮肉るためのジョーク」だったと説明している。

「スピーチの最後のジョークは、明らかに『私の心は皆さんとともにある』と示したイーロン・マスク氏をナチス呼ばわりしたヒステリックな“リベラル”を嘲笑するためのものでした」

「文脈が重要なのですが、人は時に自分の偏見を正当化するために文脈を無視します。見たいものだけを見るのです」

ロビンソン氏は、敬礼の模倣は「英国特有の皮肉を込めたユーモアの試み」だったとも述べ、批判した側に問題があるという考えも示している。

一方、アングリカン・カトリック教会は2月3日付で新たな声明を発表。

「ACCはロビンソン氏を公式な広報やソーシャルメディアのインフルエンサー、あるいはオンラインの文化戦争で“ヒステリックなリベラル(彼自身の言葉)”を挑発するために迎えたのではなく、教区司祭として任命しました。ロビンソン氏は全国プロライフ・サミットで見せたような行動を慎むよう、繰り返し警告されていました」と述べ、過去にも改善を求めていたことを明かした。

また、ロビンソン氏がの行動を「有害で、分裂を招き、キリスト教の寛容の信条に反する」と改めて否定。

「司祭に求められているのは対立を煽ったり、挑発したり、敵対する相手に非寛容な態度を取ったりすることではありません。これはウォーク(woke)思想ではなく、基本的なキリスト教の教えであり、ACCが司祭に求める期待に沿ったものです」とコメントしている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。

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