芸能界を引退した中居正広氏による性加害に、自社の社員が関与したと報じられているフジテレビ。
1月27日に開かれた2度目の記者会見にも、フジテレビ労働組合などから会見参加を求められていた日枝久取締役相談役の姿はなかった。
会見の質疑応答では、日枝氏が出席しない理由に関して質問が相次いだ。
トカゲの尻尾切りにしか見えない
1月23日の記者会見は、記者会に所属する一部メディア限定で映像の中継やテレビ記者による質問は認められなかったが、今回の会見は制限なく行われた。
会見に出席したのは、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの嘉納修治会長、フジテレビの港浩一社長、フジテレビの遠藤龍之介副会長、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長、フジテレビの新社長に就任する清水賢治氏。
一方、社長と会長を歴任し、フジテレビの役員を40年以上務めている日枝氏は出席せず、質疑応答ではその理由を問う質問が複数飛んだ。
これについて、遠藤氏は「この会見自体がフジテレビの会長、社長以下で対応しており、結果として嘉納と港が退任しており、我々取締役もそれぞれの出処進退について語っている」と答えるにとどめた。
「日枝氏が会見に出てこない、責任を取らないことについてはどう思っているか」という質問については、「日枝がここに来るかどうかよりも、今後それぞれがどう責任を取るかが重要。第三者委員会の報告がいつ出るかわからないが、その時期をめどにしてそれぞれの役員がそれぞれの責任を取るべきだと思っている。それは役員全員に波及するものだと思っている」と述べた。
そのほか、「嘉納氏と港氏が辞任しても日枝氏が辞めなければトカゲの尻尾切りにしか見えない。日枝氏に関して発言するのを恐れているのでは。本当にフジテレビ変わっていけるのか」という趣旨の質問もあった。
この質問には嘉納氏が「日枝は相談役。業務執行は日枝はしない。フジテレビの日常の業務は私と港で決めていた。今回の話はフジテレビの業務の範囲内なので、今日ここに(日枝氏が)出席していないのはそういうこと」と語った。
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週刊文春などは2024年12月、芸能関係者の女性が中居氏から意に沿わない性的行為を受けたと報道。フジテレビ社員を交えた複数人で会食をする予定だったが、当日に中居氏と女性以外は会場に現れなかったという。
これを受け、中居氏は公式ウェブサイトでトラブルや⽰談が成⽴していることは事実とお詫びした上で、「このトラブルについては、当事者以外の者の関与といった事実はございません」と報道を一部否定している。
フジテレビも公式ウェブサイトで「記事中にある食事会に関しても、当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません。会の存在自体も認識しておらず、当日、突然欠席した事実もございません」と否定した。
一方、フジテレビは1月17日、港社長が事実関係の調査を進めることを明かしたが、会見に参加できるメディアを一部に限定したことや、独立性が不透明な調査委員会を設置しようとしたことなどから批判が噴出。
日用品大手「ライオン」など多数の企業がCMを差し止めたほか、「会見のやり直しと日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会による徹底調査」を求める署名活動も行われた。フジテレビの社員らで作る労働組合も経営体制の刷新などを求めた。
さらに、渦中の中居氏が1月23日、「37年間、ありがとうございました。 さようなら...」と公式ウェブサイトで芸能活動の引退を発表した。
「これで、あらゆる責任を果たしたとは 全く思っておりません。今後も、様々な問題、調査に対して真摯に向き合い、誠意をもって対応して参ります」などとしている。