ナチス式敬礼そっくりのポーズが物議を醸したイーロン・マスク氏が1月25日、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の政治集会で「ドイツは過去の罪悪感にとらわれすぎだ」と発言した。
ドイツ東部の都市ハレで開かれた集会にオンラインで参加したマスク氏は、集まったAfD支持者に「あなた方はドイツの一番の希望だ。ドイツやドイツ人であることに誇りを持つことが重要だ」と語りかけた。
マスク氏は、「ドイツ文化やドイツの価値観を誇りに思うこと、そして、全てを薄めてしまう多文化主義の中でそれら(の誇り)を失わないことが大切だ」とも発言した。
また、「ドイツの人々は何千年も続く古代からの文化を持っている」と称賛した上で、「過去の罪悪感にとらわれなくていい」という考えを示した。
「率直に言って、ドイツは過去の罪悪感にあまりにもとらわれすぎていると思います。乗り越える必要があります。子どもたちは親、ましてや曽祖父母の罪に罪悪感を抱くべきではありません」
マスク氏は、「過去の罪悪感」が何かについては具体的には触れなかったものの、ドイツが戦後一貫して取り組み続けてきた、ナチスドイツ政権によるユダヤ人大量虐殺「ホロコースト」を指していると見られる。
マスク氏は1月20日に、ワシントンD.C.で開かれたトランプ米大統領の就任イベントで「ナチス式敬礼」とそっくりのポーズをとり、物議を醸した。
敬礼は大きな批判を招いたものの、マスク氏は「ありとあらゆる人を『ヒトラーだ』とする攻撃は、本当に飽き飽きする。もっとマシな卑劣な手段を考えた方がいい」とXで反論した。
ドイツでは2月23日に総選挙が行われる。移民排斥やEU離脱などの政策を掲げ、気候変動は人間の行動によるものという考えに懐疑的なAfDは現在、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ2番目に高い支持率を得ている。
マスク氏はAfDを積極的に支持しており、12月には「AfDだけがドイツを救える」とXに投稿している。1月25日の集会でも「AfDに投票することが大事だ」と発言した。
一方、AFPによると、25日にはドイツ各地でAfDに反対する抗議活動が行われた。