マスク氏の敬礼姿、独テスラ工場に投影か。政治アート集団が批判のメッセージ

テスラCEOのマスク氏は、トランプ氏の大統領就任イベントでとったポーズが「ナチス式敬礼」そっくりだと批判されていた
ドイツ・ベルリン近郊グリューンハイデにあるテスラ工場を訪れたイーロン・マスク氏(2024年3月13日)
ドイツ・ベルリン近郊グリューンハイデにあるテスラ工場を訪れたイーロン・マスク氏(2024年3月13日)
Bloomberg via Getty Images

物議を醸したイーロン・マスク氏の敬礼姿をドイツ・ベルリン近郊のテスラ工場に投影する映像が、ソーシャルメディアに投稿された。

この映像を投影したと主張しているのは、ドイツのアート集団「センター・フォー・ポリティカル・ビューティー」とイギリスの政治活動集団「レッド・バイ・ドンキーズ」だ。

マスク氏は米ワシントンD.C.で1月20日に開かれたドナルド・トランプ氏の大統領就任イベントで、「ナチス式敬礼」によく似たポーズをとり物議を醸した。

両団体が22日夜にテスラ工場に投影したという映像では、この時の敬礼姿に加えて「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)」を言い換えた「ハイル・テスラ」という文言がテスラ工場の壁に浮かび上がる仕掛けになっている。

ドイツ国際放送ドイチェ・ウェレ(DW)は、警察がこの行為について違法な団体の象徴を使用した疑いで捜査を行っていると報じている。

ドイツでは、公共の場でのナチスシンボルの表示やナチス式敬礼、「ハイル・ヒトラー」などの発言が法律で禁止されており、違反すれば最長3年の懲役または罰金が科される可能性がある。

グリューンハイデにあるテスラの工場(2024年3月13日)
グリューンハイデにあるテスラの工場(2024年3月13日)
Bloomberg via Getty Images

マスク氏は20日の大統領就任イベントでトランプ氏を祝った際に、右手を左胸に当て、そのまま腕をまっすぐに伸ばして敬礼した。

このポーズがアドルフ・ヒトラーとヒトラー支持者が行っていたナチス式敬礼にそっくりだったため、ソーシャルメディアなどで批判を招いた。

マスク氏は批判について「ありとあらゆる人を『ヒトラーだ』とする攻撃は、本当に飽き飽きする。もっとマシな卑劣な手段を考えた方がいい」とXで反論した。

一方、ドイツの新聞ディー・ツァイトは22日、「あれはヒトラー式敬礼だ」と批判する記事を掲載した。

またDWによると、ミュンヘンにある「ドイツ博物館」は、スペースXのCEOでもあるイーロン・マスク氏を「ビジョナリー(先見の明のある人物)」として称えていた宇宙エリアの展示を撤去した。

同博物館は撤去理由を明らかにしていないものの「このように目立つ場所で存命の人物を称えることは、無批判な賛辞と解釈され、問題を引き起こす可能性がある。人の生涯の業績は、振り返った時に初めて正しく評価されることが多い」と説明している。

ドイツでは2月に総選挙が行われる。マスク氏は移民排斥やEU離脱などの政策を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明しており、12月には「AfDだけがドイツを救える」とXに投稿している。

センター・フォー・ポリティカル・ビューティーとレッド・バイ・ドンキーズが22日にドイツのテスラ工場に投影したと主張する画像には、「ハイル・テスラ」に加え、「ボイコット・テスラ」と描かれたメッセージも含まれている。

ハフポストUS版によると、レッド・バイ・ドンキーズは23日に支持者に送ったメールで「テスラはイーロン・マスク氏を世界一の富豪にしている会社です。彼はますます、儲けたお金をヨーロッパ全土で極右勢力を広げるために使うようになっている。私たちはマスク氏の権力を削ぐ必要があります」と述べ、テスラの不買運動を呼びかけた。

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