アメリカのドナルド・トランプ大統領は、1月20日の就任初日からさまざまな大統領令に署名している。
その一つに「性別は男性と女性の2つのみを認める」とする大統領令があることがわかった。ホワイトハウス高官が20日、記者団に語った。
トランプ氏は20日の就任演説で「アメリカ合衆国政府は今日から、性別は男性と女性の2つのみであることを正式に宣言する」と語った。
その言葉通り、署名する予定の大統領令は政府が公式に認める性別を男性と女性の2つにする内容だという。
高官は、大統領令について「性別は変更できるものではないという根本的かつ疑う余地のない現実に基づいている」「ジェンダーイデオロギーの過激派から女性を守り、連邦政府が生物学的な真実を取り戻すのが目的だ」と述べた。
大統領令署名でどう変わるのか
アメリカでは2021年から、パスポートの性別欄に女性でも男性でもない「X」を記載できるようになった。
しかしトランプ氏が大統領令に署名すれば、パスポートやビザで認められる性別表記は、男性または女性のみとなる。
また、連邦政府がジェンダーイデオロギーを推進しているとみなした団体や個人には助成金などが交付されず、政府との契約もできなくなる。
さらに、ジェンダー・アファーミング・ケア(自認する性に近づける治療)に税金を使用することも禁止される。
トランプ氏は2024年の大統領選挙で、反トランスジェンダー広告に数百万ドルを投じ、その中で「カマラ・ハリス氏は、受刑者の性別適合手術費用の連邦政府負担を支持している」と批判した。
連邦刑務所に収容されている受刑者の医療費は政府が負担しているため、この問題は大統領選挙の争点の一つになった。
また、ホワイトハウス高官は大統領令について「本人の希望に沿ったジェンダー代名詞の使用を求められた市民が、言論や宗教の自由の侵害だと感じた場合は使用しない権利が保障される」とも述べた。
トランプ氏の大統領令署名は、トランスジェンダーの人々を標的にしてきた右派の数年にわたる取り組みの集大成だと言える。
共和党にとって、トランスジェンダー当事者を社会から排除することは最大の優先事項の1つになっている。
そのために、トランスジェンダー当事者の医療に対する恐怖を煽る、使用できるトイレを制限する、図書館や教室でのLGBTQ+の本を禁止する、LGBTQ+当事者を性的虐待者と混同させるなどの方法で攻撃を続けてきた。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。