LIFULL seniorが運営する老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL介護」は1月8日、「親との片付け(遺品整理)にまつわるコミュニケーション」に関する調査結果を公表した。
調査は2024年11月27日から12月2日、両親またはどちらかの逝去に伴い遺品整理を経験した294人を対象に、インターネットで実施した。
その結果、6割以上の人が、生前に親との片付けに関するコミュニケーションに困難を感じていたことがわかった。
親の急逝により話し合えない人も
「生前の親と、家の片付けに関するコミュニケーションを取った際の困難や障害の有無」を聞くと、61.2%があると回答した。
「生前の親と家の片付けに関する話し合いを最も重ねたタイミング」は、「親の健康状態が悪化したとき」が28.2%で最多。「日常的な会話の中で」が13.3%「長期休暇の帰省時などまとまった時間が取れるとき」が11.9%と続いた。「全く話したことがなかった」人は23.1%に上った。
生前の親と片付けに関する話し合いが一切できなかった人(68人)に限定して、その背景を聞くと、「想定外の急逝」が35.8%と最も多く、「話し合う必要性を感じていなかった」が16.7%「話し合うタイミングが分からなかった」が15.0%だった。
2024年8月に実施した「親と話したい“親の今後”にまつわる話題」に関する調査でも、「実父が急逝したので、何の準備もできておらず必要なもの、遺しておきたいものが不明だった」「心臓発作による急死だったため、通帳や印鑑、口座のある銀行も分からない状態だった」など、親の急逝によって話し合う余裕がなかったという声が寄せられている。
片付けに関する話し合いを生前の親とする際にしていた工夫については、「親の意見や意向を否定しない」が最も多く、「親の体力や健康状態を鑑みて、一度に終えようとせず少しずつ話し合うようにした」「物の処分は他人に譲るなど捨てる手段以外を提示するようにした」が続いた。
一般財団法人「遺品整理士認定協会」の長谷川正芳さんは、コミュニケーションが難しい理由について、さまざまだと前置きした上で、「親と子で『モノ』に関する価値観が異なる点は特にあがる問題です。子にとっては単なる『古いもの』に思えても、親にとっては長年大切にしてきた、思い出や愛着のあるものである場合が多いです。一方で、子ども世代はスペースや実用性を重視しがちです。このギャップが、お互いの話し合いを難しくする原因になります」と指摘。
生前の親と片付けに関して、一切のコミュニケーションを取れなかった場合の対応については「まずは自力で整理するか考えましょう。遺族も含めて貴重品を探すなど、できる事を検討しましょう。それでも難しい場合は遺品整理業者の利用がおすすめです」とアドバイスしている。