【あわせて読みたい】「子持ち様」と呼ばれる子育て社員。対立招く企業の構造に問題は
コンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」(東京)が募集する「男性育休100%宣言」に賛同した組織数が、200を突破したことがわかった。同社が1月10日、発表した。
男性育休6%⇨90%の企業も
同社が2019年3月から募集している男性育休100%宣言は、自社・自組織内で男性の育児休業取得率100%の実現を目指すもの。
当初は「男が育休?」という反応もあったというが、妻の孤独な育児を防ぐことの大切さや優秀な人材の獲得に寄与することなどを伝えていくにつれ、宣言に理解を示す組織も増えてきた。
さらに、育児・介護休業法の改正で、4月1日から従業員が300人超1000人以下の企業にも男性育休取得状況の公表が義務付けられることから、組織として支援する動きも加速しているという。
例えば、男性育休100%宣言に賛同している「大王製紙」(東京)では、2020年の男性育休取得率は6%だったが、23年は90%まで増えた。平均取得日数も2023年度では48日となっている。
ワーク・ライフバランスによると、大王製紙では社長による男性社員への育休応援ビデオメッセージを発信したり、出産予定の3カ月前から育休取得計画や組織体制を整備したりしている。
また、管理職研修では管理職に必ず出席するよう案内し、男性育休取得の理解促進を図っている。
このほか、東亜建設工業(東京)の男性育休取得率も、22年の45%から23年は90%になった。平均取得日数は23年度で33.7日だ。
22年度から導入している「育児休業中1カ月間を有給とする支援策」を継続するなどしている。
制度を実際に活用しやすくすることが重要
ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は発表の中で、「15年前から男性育休の推進・法改正に向けた政府への提言を行ってきた。2019年からは『男性育休100%宣言』の一覧を首相や厚労相に手交してきた結果、22年の男性育休『周知義務化』の法改正に結びついた」と振り返った。
また、「男性が育休をとり、育児家事スキルを高めていくことで、女性だけに育児家事の負担が偏ることなく、女性が仕事と家庭を両立できる環境を整えられるようになる。つまり男性育休の推進は、女性活躍にもつながる。育休取得のハードルを下げるだけでなく、周囲の理解を深め、制度を実際に活用しやすくすることが重要」と指摘した。
そして、「男性の育休取得率や取得日数が向上することで、より家庭と仕事のバランスを取ることができる社会が実現し、女性の働き方改革にも好影響を与えると確信している」と述べ、「より多くの男性が育休を取得できる社会の実現に向け、共に力を合わせて進んでいけることを期待している」と結んだ。