ファクトチェック機能の廃止を発表した米メタ社が、社内で多様性を促進するための取り組みを即時終了することがわかった。
FacebookやInstagramを運営するメタプラットフォームズのジャネル・ゲイル人事担当副社長は1月10日、ダイバーシティ・スレート・アプローチを終了すると従業員宛の社内メモで発表した。
ダイバーシティ・スレート・アプローチは「多様性を考慮して候補者をえらび、さらなる多様性につなげていく」ことで、採用担当者が女性やマイノリティである候補者を提案できるようにするプログラムだった。
ゲイル氏は、このプログラムを廃止するものの「引き続き異なるバックグラウンドを持つ候補者の採用を続ける」としている。
その一方で、メタ社は「DEI(多様性、公平性、包括性)」に特化したチームを廃止すると社内メモで伝えている。
その理由を「多様性、公平性、包括性の取り組みを取り巻くアメリカの法的および政策的状況は変化している」と説明。
「一部の人々に、特定のグループを他のグループよりも優遇する取り組みだと理解されるなど、『DEI』という言葉自体が議論を呼ぶようになっている」と述べている。
「多様性などを取り巻く状況が変化している」という説明は、暗に次期トランプ政権への配慮を示していると考えられる。
ザッカーバーグ氏は1月7日にファクトチェック廃止を発表した動画で「表現の自由に関する私たちの原点に立ち返る時が来た」「ソーシャルメディアを作ったのは人々の声を届けるためだった」と述べた(ザッカーバーグ氏がFacebookの前身として開発したFacemashは、ハーバード大学の女子学生の魅力度をランク付けするウェブサイトだった)。
ゲイル氏は10日の社内メモで、DEIチームやダイバーシティ・スレート・アプローチような取り組みの終了に加え、「サプライヤーの多様性に関する取り組み」も終了すると発表している。
この取り組みはマイノリティが経営する企業との取引に力を入れる内容だったが、ゲイル氏は「今後はアメリカの経済を回している中小企業の支援に注力していきます」と述べている。
トランスジェンダーや同性愛者、女性への侮辱的な言葉も「許可する余地が残されている」
この方針転換は、メタの最新のコミュニティ規定とも一致している。
メタはこのガイドラインで、トランスジェンダーの権利や移民、女性、同性愛者に関する議論などについて、排除の呼びかけや侮辱的な言葉を使用を「許容する余地が残されている」としている。
テクノロジージャーナリストのケイシー・ニュートン氏は、ニュースサイト・プラットフォーマーに1月9日に掲載された記事で、次のような投稿を目にするようになると指摘している。
「トランスジェンダーの子どもなんて存在しない」
「神は2つの性別を創造した。『トランスジェンダー』の人々は実在しない」
「ノンバイナリーという概念は作り話だ。そんな人々は存在せず、治療が必要なだけだ」
「トランス女性は女性ではない。混乱した哀れな男性だ」
「トランスの人間の(代名詞)彼でも彼女でもなく『それ』だ」
また、テック系ニュースサイトの404メディアは、メタがチャットアプリ・メッセンジャーの外観デザインをカスタマイズできる「テーマ」機能から、「トランス」や「ノンバイナリー」を削除したと報じている。
一方、「バスケットボール」や「マインクラフト」、「愛」など多様性やジェンダーなどとは関係ない一般的なテーマは引き続き利用できる。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。