避難所に向かう途中、服や食料などを詰め込んだ重いバッグを運ぶのに苦労したーー。
被災時のそんな経験をもとに開発された「キャリー付き防災リュック」があります。
家具・インテリアのEC事業を展開する「タンスのゲン」は2024年12月、避難時の大量の荷物や重たい水なども運べる、キャリー付き防災リュックを発売しました。
2016年に発生した熊本地震で、従業員が被災した際の経験から考案されました。
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被災経験が開発の原点
タンスのゲンの販売部の古戝智治さんは、2016年の熊本地震で被災。当時、避難生活を経験した避難所までの道中で重い荷物を運ぶことに苦労したといいます。
「いつまで続くかわからない避難生活に不安を覚え、服や食料、貴重品などたくさんの荷物をバッグに詰め込み避難しましたが、避難所へ歩いて向かう際、重い荷物を運ぶのに苦労したことを今でも覚えています」(古戝さん)
その時の苦労を原点に感じた「自然災害の多い日本で大切な人を守りたい」という思いが、この製品の発案につながりました。

災害大国・日本では、南海トラフ巨大地震など、いつ大きな地震が起こってもおかしくない状況の中で、防災対策の重要性が高まっています。
2024年1月に発生した能登半島地震で地域住民の多くが急な断水や孤立状態に追い込まれたように、災害時に直面するのは物資の不足や生活の不便だけではありません。
大きな課題の一つに、避難時の荷物運びの重さと不便さがあります。
特に、長時間の避難生活が予想される場合、被災した自宅と避難所を危険と隣り合わせの中、何度も往復する必要に迫られるかもしれません。
「キャリー付き防災リュック」は、誰もが重い荷物も運びやすいようにと考案されました。
重い荷物もラクラク運べる、2wayの「キャリー付き防災リュック」
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この防災リュックの最大の特長は、リュックとキャリーを取り外して別々に使用できる2way仕様。
25リットルの大容量に加え、細かい仕切りや収納ポケットが多数あり、必要なものを分類して収納できます。荷物が重い場合はキャリーバーを伸ばして引き、軽い場合はリュックとして背負うことが可能です。
さらに、リュックにキャリーを付けたまま背負える設計や、キャスターカバー付きで背負った際に汚れを防ぐ工夫も施されています。重量はリュックが約1.3kg、キャリーが約1.2kgと軽量で、持ち運びやすさを追求しています。
避難生活を支える多機能性
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さらに、この防災リュックには、避難所で生活する際に役立つマルチな機能も搭載されています。
例えば、リュックには防災枕が装備されており、避難所で休む際に快適に寝ることができます。この防災枕は巾着袋としても使用可能で、避難生活を少しでも快適に過ごせるように工夫されています。
また、背中の疲労を軽減する背もたれクッションも備えており、地面に座る際にリュック自体を座椅子として使用できるため、長時間座ることによる体力の消耗を抑えることができます。
それ以外にも、肩紐と前面に反射板を装備し、暗闇での視認性を向上させたり、耐水性のある3層構造の生地を採用しているため、雨天時でも荷物が濡れないよう守れるなど細かい配慮もなされています。
「これさえあれば安心」防災グッズセットも展開
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「キャリー付き防災リュック」に合わせて、防災グッズセットを合わせたセット販売も開始。
セットには、避難時に役立つアイテムが揃っており、「男女2人用セット」や「ファミリー3人用セット」など、家族構成に合わせて必要となる防災グッズがまとめられています。