LIFULL seniorが運営する老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL介護」は12月25日、年末年始の帰省の時期に合わせて、「帰省時の介護・老後に関する親とのコミュニケーション意向調査」の結果を公表した。
調査は12月13、14日に、12月下旬から2025年1月上旬に実家への帰省予定がある全国の30代から50代の656人を対象に実施。
その結果、介護や老後に関して親と会話意向があるのは4割にとどまり、話す内容で最も多いのは「健康状態」であることが分かった。
◆親と介護や老後を話す意向、4割にとどまる
「今年の年末年始の帰省時に、自身の親に介護や老後について何らかの話をしようと考えているか」を聞いたところ、「考えている」が20.0%、「まぁ考えている」が23.5%で、4割強が話す意向があることが分かった。
一方で「あまり考えていない」は24.5%、「考えていない」が32.0%と、話さない意向の人のほうが多かった。
世代別で見ると、30代では「考えている」と「まぁ考えている」あわせて52.8%なのに対して、40代では41.8%、50代では38.4%だった。
LIFULL介護は、「若い世代は、自身の経済状況に余裕がある状態ではないことなどから、親の介護に対する危機意識が強いなどが背景として考えられる」と分析している。
年末年始に親の介護や老後について親と話そうとしている人を対象に、その内容について聞いたところ、「健康状態」が53.7%で最多。「老後の資金計画や経済面」が36.8%、「片付け(生前整理・遺品整理)」が36.5%と続いた。
年末年始に親の介護や老後について話す意向がない人に、その理由を聞くと、最も多かったのは「現時点で話す必要性を感じていないから」で45.8%。特に30代は60.9%と最多。
30代は前述の通り、話す意向がある人も全年代で一番多く、二極化していることが窺える。LIFULL介護は、話す必要性を感じていないと答えた人が多い理由について「親世代が比較的若いため必要性を感じていない可能性がある」と分析する。
また全体の数値では、「具体的に何を話せばいいかわからない」が25.3%、「話を切り出すタイミングがない、わからない」が17.3%、「自分から話していいのかわからないから」が15.6%となった。
LIFULL介護は「親と介護や老後について話すことに対する気後れのようなもの、心構えや準備に関する課題が見られる」としている。
「親の介護や老後について不安に感じること」について、最も多かったのは「自身の仕事と介護との両立」で42.2%。
「自身の精神的な負担・ストレス」が38.6%、「介護にかかる費用と負担者」が25.6%、「自身の体力や健康状態」が25.5%と続いた。
回答者本人に関連した事柄が上位を占めていることから、LIFULL介護は「親の介護にかかわることで、自身にどれくらい影響がでるかに不安を抱く人がより多いことが見てとれる結果となった」としている。
LIFULL介護編集長の小菅秀樹さんは、結果について「『何を話せばいいかわからない』『話を切り出すタイミングが難しい』といった理由から、話し合いに踏み切れないケースも多いようです」と分析した上で、「唐突に介護や親の経済状況について切り出すのは親にとっても負担かもしれません。まずは『生活で困っていること』や『健康面で不安なこと』といった、親の日常に寄り添う質問から始めましょう」と提案。
一方で「親が『まだ大丈夫』と言っても鵜呑みにする事は危険です。親は子供に心配をかけまいとギリギリまでSOSを出しません。持病の有無やどんな病院に通っているのかも併せて確認することもおすすめします」と指摘。
「一度の帰省ですべてを話し終える必要もありません。対話を重ねる中で家族のつながりを感じられるようになれば、話しにくいことも自然に話せるようになるでしょう。まずは親の生活に関心を寄せること。それが高齢の親を支える第一歩となるはずです」