乾燥の季節に多い“コンロ火災”。油についた火を水で消火はNG!知っておくべき対策とは

空気の乾燥する冬は住宅火災が多い季節。出火原因で最も多いコンロ火災を防ぐ方法をご紹介します。
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冬は住宅火災が多い時期です。年間を通して見ると、12月がもっとも多く、次が1月、さらに3月、2月と続き、冬から春先にかけての時期に集中しています(2023年度版「消防白書」)。

これは冬の空気が乾燥していて発火・延焼しやすいことと、冬は住宅内で暖房器具が使われていることが主な原因です。

では、冬場の住宅火災を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。今回は、住宅火災の出火原因で最も多いコンロ火災を防ぐ方法をご紹介します。

出火原因の第一位はコンロ火災

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東京消防庁管内で発生した火災件数を見ると、住宅火災の出火原因の中でいちばん多いのは、ガスや電気などのコンロです。2013年から2022年までに起こった住宅火災の出火原因を見ると、2位のタバコ、3位のストーブ、4位の放火を抜いて、10年連続でコンロが1位でした。

コンロは、どのようなものに着火するのでしょうか。着火物別のコンロ火災を調べると、2022年に起こったコンロ火災の内訳は、1位が天ぷら油の23.3%、2位がくず類(油かすやゴミ類)の13.5%でした。3位は着衣とガス類(エアゾール缶など)が9.8%で並び、この4種の着火物で56.4%を占めています。

同じく2022年に起こったコンロ火災を出火経過で分類すると、「放置する・忘れる」が圧倒的に多く、2位の「可燃物が接触する」のを2倍以上引き離しています。

コンロ火災を防ぐポイント

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出火経過別のコンロ火災件数を見ればわかるように、コンロ火災を防ぐポイントの第一は、「調理中にコンロから離れない」ことです。次に、「コンロの周りに燃えやすいものを置かない」ことも大切になります。

そのほか、「換気扇や魚グリル等は定期的に掃除する」、「コンロの上や奥にあるものを取るときは火を消す」、「防炎用のエプロンやアームカバーを使用する」、「火が鍋底からはみ出さないように調理する」なども重要です。

2008年10月以降に製造された家庭用コンロは、全口に消し忘れ消火機能、調理油加熱防止装置、立ち消え安全装置を有するSiセンサーコンロになっています。古いコンロは使わないことも、コンロ火災を防ぐポイントの1つでしょう。

また、カセットコンロの扱い方にも注意が必要です。不適切な使用はボンベの爆発を招くこともあり危険です。

カセットコンロ全体をおおうような大きな調理器具を使用したり、ボンベを暖房器具の前や高温になる場所に置いたりしないで、安全な使い方を心がけましょう。

住宅用火災警報装置を設置すること、火を使う場所には消火器を備えることも、被害を軽減するために必要です。

コンロ火災、対策の落とし穴

そのほか、意外なことからコンロ火災が起こることがあります。

一つは、通常よりも少ない量の油で「揚げ焼き」を行う場合です。少量の油を加熱したまま放置すると、短時間(約8分)で発火します。

もう一つは、鍋の油に凝固剤を入れて加熱した場合です。冷えた油では凝固剤が溶けないので再加熱しがちですが、加熱し続けると約20分で発火します。最新式のコンロでもこうしたことが起こるので、加熱したまま放置してはいけません。

霜がたくさん付いた冷凍食品を熱くなった油に大量に入れても、発火することがあります。霜が原因なので調理の前に落とすか、少量ずつ入れるようにしてください。

油に火がついた場合、消火方法を間違うとより大きな危険にさらされる可能性もあります。

特に忘れてはならないのが、水をかけて消火することです。発火するとパニックになり、つい慌てて水で消火してしまいがちですが、けっして水をかけてはいけません。コップ1杯(150cc)の水でも、爆発したように火が飛び散って火災が拡大してしまうので、絶対に避けてください。

また、鍋のふたを被せるといったん火は消えますが、コンロのスイッチを切って温度が下がるまで待つことが大切です。下がりきらないうちにふたを取ると、再び発火してしまいます。

濡れたタオルを被せて消火する方法もありますが、炎を覆いきれないと、かえって火災が拡大します。

油に火がついたら、消火器を使うのがいちばん確実な消火方法です。

冬場に多いコンロ火災の怖さを知り、防ぐポイントをしっかり覚えておきましょう。

参考資料
東京消防庁「数字で見る令和4年中の,東京消防庁管内の災害動向等」、同「STOP!住宅防火シリーズ④ 火災から大切な命を守ろう」、総務省消防庁「たしかめくんとボウサイちゃんのこんろ火災防止大作戦!」

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