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※2024年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:2月12日)
白夜の光に照らされながら、海に浮かぶ氷の上に作ったベッドでぐっすり眠るシロクマ。
絵本のようなこの写真は、イギリス・ロンドン自然史博物館主催の「野生生物写真賞ピープルズチョイス」の大賞を受賞した「Ice Bed(氷のベッド)」です。
撮影したのは、イギリスのアマチュア写真家ニマ・サリカーニさん。濃い霧に覆われたノルウェーのスヴァールバル諸島で3日かけてシロクマを探したものの見つけられず、海氷が残っている場所へと調査船の進行方向を変えたところ、2頭のオスのシロクマを見つけました。
観察を続けて8時間ほど経った真夜中前に、若い方のシロクマが海氷によじ登り、腕で氷を掘ってベッドを作って白夜の光のもとで眠りについたところをカメラで捉えました。
シロクマの数は、現在世界で2万6000頭ほどと考えられており、絶滅危惧種に指定されています。生存への最大の脅威は気候変動による海氷の減少で、他にも商業活動の増加や、人間とのトラブル、汚染、病気などの問題も個体数減少の原因になっています。
自然史博物館のダグラス・ガー館長は「示唆に富むニマの写真は、動物と生息地の不可欠な絆を思い起こさせ、気候温暖化と生息地喪失がもたらす悪影響を視覚的に表現しています」と述べています。
サリカーニさんも受賞コメントで、「気候変動は私たちが直面する最大の課題ではありますが、この写真が希望になってくれることを願っています。私たちには、人間が引き起こした混乱を解決する時間がまだ残っています」と語りました。
サリカーニさんは、同じシロクマが海氷の上から海を眺める写真も自身のInstagramに投稿しています。
第59回を迎えた「野生生物写真賞ピープルズチョイス」には、5万点近くの応募があり、大賞の他に4つの優秀賞が選ばれました。
「Ice Bed(氷のベッド)」同様に野生生物の魅力的な瞬間を捉えた4作品もご紹介します。
小さな鳥たちが、巨大な鳥の形に――「スイミー」を彷彿とさせるこの写真は、イタリア・ローマで撮影された「Starling Murmuration(ムクドリの群れ)」です。
撮影したDaniel Dencescuさんは、群れを作って巣に戻るムクドリたちの巨大な空中ショーに魅了され、何時間もかけて群れを追跡。努力が実り、ムクドリの群れが鳥の形になる瞬間を捉えました。
ケニアのマサイマラ国立保護区で、一緒に子育てをする2頭のメスライオンを写した作品「Shared Parenting(共同子育て)」も優秀賞を受賞しました。
撮影したマーク・ボイドさんは、5頭の子どもを茂みに隠して狩に出かけた2頭のメスが、獲物を捕らえられずに戻ってきた後に、草原に呼び戻した子ライオンの1頭を毛繕いをする瞬間を撮影しました。
イスラエルのエズレル平野で撮影された「The Happy Turtle(幸せなカメ)」は、カメとトンボの心温まるふれあいをとらえた作品です。
Tzahi Finkelsteinさんは、沼の浅瀬を歩いていたバルカンヌマガメの鼻に、トンボが着地した瞬間を撮影。自分の鼻に不意にトンボが止まったカメは嬉しそうな表情をしているように見えたそうです。
Audun Rikardsenさんの作品「Aurora Jellies(オーロラのクラゲたち)」に映っているのは、2匹のミズクラゲです
撮影地はノルウェー北部トロムソ郊外のフィヨルド。この場所には、オーロラに照らされた冷たい秋の海にミズクラゲの群れが集まるそうです。
Rikardsenさんは自作の防水設備を使い、水面に映る空の色とクラゲを同時に撮影しました。