「極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)はオバマ氏が就任した時の米民主党と全く同じ」というイーロン・マスク氏の主張が批判を招いている。
AfDは移民排斥やEU離脱などの政策を掲げるドイツの政党で、2013年に設立された。
マスク氏は12月20日、このAfDだけが「ドイツを救える」とXに投稿。
これに対し、米民主党のクリス・マーフィー上院議員は「AfDは本質的にドイツのネオナチ政党で、ナチスのイメージを回復しようとしている。ドイツで生まれていない人々を排除するという危険な考えを持っている」とCNNで異議を唱えた。
マスク氏はこのマーフィー議員の意見に反論し「なんという大嘘つき。AfDの政策は、オバマ就任時のアメリカ民主党の政策と完全に同じだ!何一つ変わらない」という主張をX上で展開した。
しかし、ドイツの極右政党をオバマ政権と同一視する考えは、様々な人たちから批判されている。
実業家でビリオネアのマーク・キューバン氏は、「最もAfDと近いアメリカの政党は」とxAI社の対話型AI・Grokに質問したところ「アメリカ共和党、特に現在の右寄りから極右に最も近い」と回答したとXに書き込んだ。
アメリカの政治学者イアン・ブレマー氏は、AfDと民主党オバマ政権を同じだとするのは「なかなかの見解」だとマスク氏に返信する形で投稿。
AfDは気候変動や移民などの様々な問題で「はるかに『ドイツ第一主義的』である」と述べた。
また、ドイツ社会民主党(SPD)のショルツ首相は、マスク氏の「ドイツを救えるのはAfDだけ」という発言について「言論の自由というのは、彼のような大富豪が正しくない、もしくは良い政治的アドバイスを含まない発言ができるということでもある」と記者会見で述べた。
ショルツ首相は11月に、自由民主党(FDP)の党首のクリスティアン・リントナー財務相を解任して三党連立政権の崩壊を招いた。その後、12月16日には議会で信任投票が否決され、2025年初めに解散総選挙が行われる。
世論調査によると、AfDはドイツキリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ支持率を得ている。
しかしテューリンゲン州のAfDトップであるビョルン・ヘッケ氏は、政治集会でナチスのスローガンを故意に使用した罪で有罪となり、罰金を科されている。
「ドイツを救えるのはAfDだけ」と発言したマスク氏は、2024年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏を支持して勝利に貢献した。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。