イーロン・マスク氏が、自身とドナルド・トランプ次期米大統領の利益相反の恐れを指摘したエリザベス・ウォーレン連邦上院議員を、人種差別的な投稿で揶揄した。
マスク氏は11月の大統領選挙で勝利したトランプ氏のインナーサークルで強い存在感を見せている。
トランプ氏から「政府効率化省」のトップに任命されたほか、トランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談に同席したと報じられている。また大統領選挙の後、マスク氏の資産は急増している。
ウォーレン氏は12月16日、「マスク氏は単なる一般市民ではなく、テスラなど政府と大規模事業契約を結んでいる企業のCEOである」とトランプ氏宛ての書簡で指摘。
マスク氏を最高顧問として起用し続けるのであれば、他のメンバーと同じ倫理規定を課して利益相反を解消するよう求めた。
この書簡提出後の17日にマスク氏がXに投稿したのが、AIで描いたと見られるウォーレン氏の画像だ。
画像のウォーレン氏は、鳥の羽で装飾されたビーズの頭飾りやシカ革の服を身につけるなど、ネイティブアメリカンのステレオタイプを強調した形で描かれている。
画像の1つでは、ネイティブアメリカンの衣装を着たウォーレン氏が、笑いながらケーキを食べる様子も描かれている。
泣き笑いの絵文字と「これ誰だと思う?」というコメント以外に、画像の説明はない。
ウォーレン氏は2018年、先祖の大部分はヨーロッパ系であるものの、わずかながらネイティブアメリカンの祖先がいる可能性があるというDNA検査を公表した。
このDNA検査の公表に対し、先住民族のアイデンティティを矮小化するものだなどの批判が起き、ウォーレン氏は謝罪した。一方、トランプ氏はウォーレン氏を「ポカホンタス」と呼んで揶揄した。
マスク氏の投稿した画像は、トランプ氏のコメントを想起させる内容だ。
法学者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校「先住民族法・政策センター」のアシスタントディレクターであるローレン・ヴァン・シルフガーデ氏は、マスク氏の投稿は「典型的な人種差別」でさまざまな面から問題だとハフポストUS版に語った。
ヴァン・シルフガーデ氏が指摘した問題の一つが、ネイティブアメリカンを固定観念をもとに描いている点だ。
「先住民族をさまざまな異なる部族としてではなく、画一的な存在として表現しており、非常に問題があると思います」
一方、自身の利益相反を指摘したウォーレン氏を人種差別的な投稿で攻撃するのは興味深いとも述べた。
「これは恐れの表れであり、批判の本質から注意をそらそうとしているように感じます」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。