脱毛症のチアリーダーがウィッグをつけずにパフォーマンス「髪がなくてもエンパワーされる」

12歳の時に脱毛症と診断されたアルマーニ・ラティマーさんは涙を流した後、チームメートに励まされてウィッグをつけずにフィールドでパフォーマンスを披露した
試合の途中でパフォーマンスをするダラス・カウボーイズのチアリーダーら
試合の途中でパフォーマンスをするダラス・カウボーイズのチアリーダーら
Icon Sportswire via Getty Images / 2024年12月9日
米プロアメリカンフットボールリーグNFL「ダラス・カウボーイズ」のチアリーダーが12月9日、脱毛症について知ってもらうためにウィッグを外してパフォーマンスに臨んだ。

9日のシンシナティ・ベンガルズとの試合では、チアリーダーが自分にとって重要な問題やテーマを伝える「マイ・コーズ・マイ・ブーツ」イベントが行われた。

それぞれのチアリーダーが肺がんやメンタルヘルス、DVなどのテーマを選ぶ中で、ウィッグをつけずにパフォーマンスをして脱毛症の認知向上を訴えたのはアルマーニ・ラティマーさんだ。

ダラス・カウボーイズ・チアリーダーズのInstagramには、涙を拭いてフィールドに向かうラティマーさんを、チームメイトが「あなたはたくさんの幼い女の子たちを代表している」と励ます様子が映っている。

ラティマーさんは、11歳の時に髪が生えていない部分があるのを母親が気づき、12歳で脱毛症と診断されたとウィメンズ・ヘルス誌に語っている。

脱毛症は免疫システムが毛包を攻撃する症状で、すべての髪が抜ける場合もある。

ラティマーさんは「高校の時は自分の脱毛症について誰にも話していなかったが、大学時代にストレスが原因でさらに髪が抜け、伸びるのに時間がかかるようになった」とウィメンズ・ヘルスの取材に振り返っている。

大学時代はエクステをつけていたものの、2020年にダラス・カウボーイズ・チアリーダーズのオーディションを受けた時にストレスでさらに髪が抜け、ウィッグを使うようになったという。

「チアリーダーを始めた頃は脱毛症に対処するのが難しかったです」

「私にとって激動の時期であり、自分の力の50%くらいしか発揮できませんでした。私が以前より内にこもり、明るくないと気づいた人もいました。でも、自分の経験していることを一緒に泣けるチームメイトがいたことが救いになりました」

NFLのチアリーダーは1950年代の誕生以来、高い「美の基準」を求められてきた。その基準は黒人のチアリーダーを視野に入れたものではなかった。

ダラス・カウボーイズ・チアリーダーズのメンバーは、チームが提携したヘアサロンを利用できる。しかしチームが黒人の髪を専門とするサロンと提携したのは2020年だった。

2012〜2016年まで同チームのチアリーダーだった黒人のジェシー・スコットさんは、「自分でお金を払って、黒人の髪に詳しいスタイリストに頼んでいた」と2020年にアリューアに語っている。

そういった古い「美の基準」は少しずつ変わりつつある。

トランスジェンダーを公表した初のNFLチアリーダーであるジャスティン・リンゼイさんは2022年、ウィッグなしでのパフォーマンスを認められたことについて「髪がないのに自信を持てない若い女の子たちのインスピレーションを与えられて嬉しい」とバズフィードに語っている。

9日の試合でウィッグを外してパフォーマンスをしたラティマーさんも「自分に対するネガティブな気持ちや否定的な考えを克服できれば、これから(脱毛症と)診断される12歳の子どもたちの経験を変えられるかもしれない」とウィメンズ・ヘルスに述べた。

「私のように23歳になるまで待たずに救われるでしょう。女性には、たくさんの社会的なプレッシャーがかかっています。これ以上増える必要はありません。私たちは多くのものからエンパワーされます。その力は髪がなくても感じられます」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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