世界の人々や政治指導者たちも、外国人をたびたび悪者扱いし、前回の在任期間中に国際問題において予想を超えた大胆な変革を行なったトランプ氏の大統領2期目に備え始めた。
最初にみられたのは、警戒感の広がりだ。特にアメリカが伝統的な同盟関係や自国の民主主義的な制度に疑問を投げかけることになるだろう、という見通しに対してだ。
世界のトップリーダーたちは、トランプ氏を祝福し、ともに協力することを楽しみにしていると述べた一方、これから始まるトランプ政権から派生するであろう影響から自国を守ろうとしている姿勢も示唆した。
祝福と警戒
それはEU(欧州連合)で最も力のある2カ国の首脳、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相の態度を見れば明らかだ。
両者ともトランプ氏を祝福した一方で、マクロン大統領は、ショルツ首相との電話で「この新たな状況において、より団結し、強く、独立したヨーロッパを目指し、アメリカと協力し、我々の利益と価値を守るために手を取り合おうと話し合った」という。
シンクタンク「ヨーロッパ・リーダーシップ・ネットワーク」の政策責任者であるキニモント氏はXへの投稿で、アメリカの最も親密な同盟国が多く存在するヨーロッパの意思決定者たちは、アメリカの支援なしに自国の安全を確保するための措置を講じるべきだと考えるようになるだろうと指摘した。
トランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)はアメリカを搾取していると主張し、かねてからNATOに対し批判的なスタンスをとってきた。
トランプ氏が外交問題をどのように進めるか疑問視される中、歴史的にアメリカと同盟を結んできた他の国々のリーダーらも前向きな姿勢を示そうとした。
一触即発の事態に直面する可能性があるのは、中国政府が「中国の一部だ」と主張する、台湾だ。トランプ氏は、「台湾統一」を目指す中国の習近平国家主席を称賛している。
トランプ氏の勝利を受け、台湾の与党の報道官は11月6日、アメリカと台湾の関係は磐石であるとし、「選挙によって変わることはない」と述べた。
アメリカからの支援を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ氏の勝利を「素晴らしい」とし、ロシアの軍事侵攻に対抗するための協力を求めた。
トランプ氏や共和党員は、バイデン政権のウクライナへ支援に対して否定的な姿勢を見せてきた。
祝福と称賛
他方で、一部の独裁的な政治指導者たちは、トランプ氏の勝利によって自らの考え方や政策の正当性が証明されたように感じたようだ。
エルサルバドルのブケレ大統領は、アメリカの保守派に人気の実力者で、いち早くトランプ氏の勝利を祝福した。
権威主義的ポピュリズムを推し進めてきたハンガリーのオルバン首相は、トランプ氏の勝利を「世界にとって必要な勝利だった!」と評した。
サウジアラビアの事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子も、勝利したトランプ氏と最初に話した1人と言われている。
トランプ氏にも通じる「極右」的な政治を推進してきたイスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ氏は「史上最大のカムバック」を果たしたと述べた。
イスラエルによるガザ侵攻に対し国際的な批判が強まってもなお、アメリカはイスラエルを支持し続けている。親イスラエル的なトランプ氏が大統領に就任することで、イスラエル支援が続くとみられている。
日本では
日本の石破茂首相はXでトランプ氏に祝意を伝えた。「日米同盟を更に強化し、自由で開かれたインド太平洋を推進するために、緊密に連携することを心から楽しみにしています」と綴った。
また翌日には石破首相がトランプ氏に電話で祝辞を述べたといい、日米同盟の強化と、早期の会談の実施を確認したという。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集・加筆しました。