紅葉から生まれる物語
モミジやイチョウなどが鮮やかに紅葉する季節です。集めた葉っぱで、葉っぱ切り絵を作ってみるのはいかがでしょうか。葉っぱ切り絵とは、木の葉を素材にしたアートです。リト@葉っぱ切り絵さんは、Instagram、X(旧Twitter)に葉っぱ切り絵を毎日のように発表し、大きな反響を呼んでいます。
作品撮影のために、1年中自然の中を歩き回っているリトさんにとっても、この時季は特別だといいます。
「秋が一番葉っぱの色が多彩で、見ているだけでも楽しいです。モミジやイチョウの葉が手に入るのもこの季節だけ」(リトさん)
葉っぱ切り絵に紅葉した葉っぱを使うのは難しいところもあるといいます。
「カットできる部分が極端に少ないので、表現にも制限があります。ただ、だからこそ制作意欲が燃えてくるというか、この中で何とか表現してやろう!って気になります」(リトさん)
制限があることは、決してマイナスではないようです。例えば、紅葉の葉の形をそのまま動物の尻尾にした作品。「この葉っぱだからこそ浮かんだアイディアだし、見てくれた方々からも『この部分を尻尾にするなんて面白い!』って驚きや感心するようなコメントをたくさんいただきました」(リトさん)
紅葉の葉っぱ切り絵の作り方
「普段は紙にまず下絵を描いて、そのデザインに合う形の葉っぱを選びます。
モミジの場合は、紅葉をジーッと眺めながら頭の中で作品イメージを膨らませて、そこから下絵を描く作業に入ります。デザイン先行だと葉っぱの中に収まりきれないからです」(リトさん)
▼準備するもの
葉っぱ、デザインナイフ、マット、水性ペン(細め)、下絵など
(1)下描き
下絵を見ながら、葉っぱの裏側に水性ペンで下描きする
(2)切り抜く
はじめに絵の内側の小さい部分を。次に外側の余分な部分を大まかに切り、下描きの線にそって細かい部分も切る
(3)仕上げ
表に返して、微調整
「紅葉は緑の葉っぱ以上に割れやすく繊細なので、カットには細心の注意を払います。デザインナイフの尖った先端だけを使って、真上から刺すようにゆっくり少しずつ刃を入れていきます」(リトさん)
作品テーマの見つけ方
「紅葉の季節は作品テーマも秋らしいものを選んでいます。芸術の秋や食欲の秋をテーマにしたり、動物たちが小さな紅葉を見つけて手にしたり…。葉っぱの色が赤かったり黄色かったりするので、ふれあいとか心温まるテーマがよく合います」(リトさん)
モミジの葉っぱの形からインスピレーションを得て、ふさふさの尻尾に特徴があるアライグマを表現したのが「おてての先までしっかりキレイに」です。
今、贈りたいメッセージ
「小さな葉っぱの上に、ひとつの世界や物語を作れるのが葉っぱ切り絵の魅力」と、リトさんは語ります。
作品を発表するSNSには世界中からコメントが届き、初作品集『いつでも君のそばにいる』(講談社)をはじめとする葉っぱ切り絵シリーズは累計30万部を突破しました。多くの人の心をとらえているのは、小さな葉っぱから広がる物語に、自分のためのメッセージを受け取って、それぞれに感動したり、勇気づけられたりしているからでしょう。
紅葉した葉っぱを拾い集められるのは、今だけ。自分の思いや伝えたいメッセージを込めて、葉っぱ切り絵作ってみるのもよいかもしれません。
1986年生まれ。神奈川県出身。葉っぱ切り絵アーティスト。自身のADHDによる偏った集中力やこだわりを前向きに生かすために、2020年より独学で制作をスタート。Instagram、X(旧Twitter)に毎日のように投稿する葉っぱ切り絵が注目を集める。全国各地にて作品展を開催。『まねっこカメレオン』『葉っぱ切り絵カレンダー2024』(講談社)他が全国書店、Amazonなどのネット書店にて大好評発売中。