10月27日投開票の衆院選で、議席を大幅に伸ばした立憲民主党の野田佳彦代表は開票後の記者会見で、選択的夫婦別姓について「2022年に野党で共同提案している民法改正案があるので、その採決を迫っていく」と明言。制度導入に改めて意欲を示した。
衆院選の争点の一つとなった選択的夫婦別姓をめぐり、立憲民主や国民民主、共産など野党各党のほか、公明も賛成の立場を示していた。
一方、自民党は「今後の制度のあり方については社会的意義や運用上の課題などを整理しつつ、どのような形がふさわしいかを含め合意形成に努める」などと述べるにとどめていた。
NHKや毎日新聞など各報道機関による衆院選の候補者アンケートでも、主要野党に比べ、自民党の候補者で「賛成」の割合が顕著に低い結果となっていた。
さらに、自民党の石破茂総裁の「手のひら返し」発言も波紋を広げていた。
石破氏は7月のBS-TBSの番組で、「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よくわからない理屈があるが、やらない理由がよくわからない」と述べるなど、制度導入に積極的な姿勢を示していた。
だが首相就任後の10月、参議院本会議の代表質問では、選択的夫婦別姓について「家族の在り方の根幹に関わる問題」などと主張。早期導入に慎重な姿勢を示し、立場を大きく後退させていた。
野党提出の民法改正案、概要は?
立憲の野田代表が言及した民法改正案とは、どのような内容なのか?
同党は2022年、野党各党と共同で、選択的夫婦別姓を実現するための民法改正案を国会に提出。改正案では、夫婦は①夫の氏または妻の氏に統一する②各自、婚姻前の氏を使用━━のいずれかを選べるようになる。
また子どもの氏に関しては、別氏夫婦の場合、子どもは父または母の氏となる。出生時に父母の協議で決定し、協議が不調なケースなどでは家庭裁判所による審判で決まる。別氏夫婦の養子の場合は、養子縁組の時点で養親のいずれかの氏になる。
立憲の野田代表は記者会見で、この民法改正案について「たぶん公明党は採決になれば賛成するんじゃないか」と発言。「自民党も半分くらいの人たちは本当は自主投票なら賛成するだろうと思いますので、あぶり出す意味でも採決はしたいと思います」と明言した。