ジェンダーバイアスを感じる、結婚式の古い「演出」や「慣習」について、令和のジェンダー観と合わないと違和感を抱き、内容を変える動きが出てきている。
「家父長制」や「男尊女卑」の考え方に基づく結婚式の慣習を、挙式で実施する人が少なくなってきていることが、ある調査で明らかになった。
「バージンロード」やスピーチ、ファーストバイトに変化
LINEでの式場探しサービスを展開する「トキハナ」は9月、2023年4月以降に結婚式をした、もしくはする予定の20〜30代・334人と、20〜40代・317人を対象にオンライン調査を実施。
従来の結婚式の形式や演出が見直され、現代の多様な価値観に沿った内容に変わっていっている状況が浮き彫りになった。
挙式入場の際、「バージンロード」とも呼ばれる、チャペルの入り口から祭壇までの通路は従来、父親と共に歩くことが多かったが、調査結果では父親との入場は51.8%で、半数のみにとどまった。
「バージンロード」という呼称に違和感を感じる人も少なくないほか、父親から新郎に新婦を「手渡す」ような演出が家父長制を象徴するようだとして、近年は母親と父親両方にエスコートをしてもらう人が増えている。
調査結果では、回答者の45.2%が「母親」にエスコートを頼み、「家族」が27.2%、「祖父母」が17.4%だった。
結婚式のスピーチは従来、新郎新婦では新郎、両親では父親など、男性に偏ることが多かったが、ウエルカムスピーチでは新郎新婦が揃って話すことが増えている様子だ。
回答では、「新郎と新婦」が行った・行う予定とした人が59.9%、「新郎」が22.1%、「新婦」が8.6%だった。
従来、スピーチが男性に偏っていたと同時に、家族などへの手紙の朗読は新婦が感謝の気持ちを読み上げる「花嫁の手紙」が一般的だった。
しかし、回答では「新婦」が行った・行う予定としたのは38.0%のみで、「新郎と新婦」が29.6%、「新郎」が19.1%、手紙朗読の演出は「なし」という回答も9.9%あった。
古くからの慣習の一つであるファーストバイトには、新郎から新婦へ「一生食べ物に困らせません」、新婦から新婦へ「一生おいしい料理を食べさせます」という意味があるとされている。
共働きで家事を分担する夫婦が増える中では、そのような意味合いを持った演出に違和感を持つ人も少なくない。
ケーキセレモニーに関する質問では、「ケーキカット」が56.0%で、「ファーストバイト」は34.1%にとどまった。
また、近年ファーストバイトの代替案として人気となっている「サンクスバイト」が14.7%だった。サンクスバイトは、新郎新婦が感謝の気持ちを込めて、両親やゲストなどにケーキを食べさせるという演出だ。
「固定観念や慣習に基づく演出が、令和時代に入って見直されつつある」
調査を行ったトキハナは、「従来の固定観念や慣習に基づく演出が、令和時代に入って見直されつつある」として、調査結果を以下のように分析した。
「従来の『普通だから』という理由で慣習に従うのではなく、自分たちの価値観に合った演出を求める傾向が強まっています」
「結婚式を挙げる場合、慣習的な演出をどの程度取り入れたいか」という質問に対しては、「ファーストバイト」が45.3%、「ブーケトス」が46.0%で、回答者の半数以上がそれらを取り入れない意向だった。
トキハナが5月に20〜40代の男女を対象にオンラインアンケートを実施した際には、「家父長制、男尊女卑が染みついた結婚式のプログラムはどのように対応するべきか」という質問に対し、20代の58%が「それらのプロブラムは無くすべき」と答えていた。
今回の調査結果は、5月のアンケートの回答を裏付ける内容となった。