アメリカの下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」のファッションショーが現地時間10月15日、ニューヨークで開催された。
数年に渡り、多様性の欠如を指摘され改善を進めてきた同ブランド。6年ぶりに開催された今回のショーには、トランスジェンダーのモデル2人が初めて登場した。
アレックス・コサーニさんとヴァレンティーナ・サンパイオさんは、同ブランドのショーで有名な「羽」をつけてステージに登場。タイラ・バンクスさんやアドリアナ・リマさん、ジジ・ハディッドさん、ベラ・ハディッドさんらレジェンドのモデルたちと肩を並べた。
大手IMG Modelsに所属し、ファッション界で近年最も注目されているモデルの1人となったコサーニさん。ショーの翌朝にはInstagramにランウェイでの写真を投稿し、その喜びを語った。
写真にはキラキラした淡い水色の下着と「羽」をつけたコサー二さんの姿が写っており、「ヴィクトリア・シークレット、愛してる!小さい頃の私が嬉しくて叫んでる。もう『ありがとう』以外の言葉が見つからない」とつづった。
サンパイオさんはショーの前、同ブランドの包括性を称賛し「この瞬間を一生大事にする」とPeople誌に述べ、「ヴィクトリアズ・シークレット・ファミリーは今日、トランスジェンダーであることはランウェイにいる他のみんな同様に特別で美しいということを世界に示しました」と話した。
6年ぶりに開催された今回のショーは、ヴィクトリアズ・シークレットにおけるファッションショーの「再生」を意味した。
2010年代後半、同ブランドは複数の論争の渦中にあり、ランジェリー界での影響力を失っていった。
2018年には、ファッションショーのエグゼクティブ・プロデューサーのエド・ラゼック氏がVogue誌に対し、「ショーはファンタジー」であるためトランスジェンダーのモデルを起用すべきではないとの考えを述べ、批判を受けた。(後に「絶対にトランスジェンダーのモデルを起用します」と謝罪した)
その2年後には、ヴィクトリアズ・シークレットの元親会社Lブランズの「女性差別、いじめ、ハラスメントの文化」がNew York Times紙の記事で明らかになった。
同時に、ヴィクトリアズ・シークレットの業界リーダーとしての地位は、リアーナの「Fenty x Savage」やキム・カーダシアンの「Skims」など新たなセレブブランドの台頭によって脅かされることとなった。
市場シェアの低迷とファッションショーのテレビ視聴率の低下に直面し、同社は2021年にLブランズから独立し、より多様性を重視したブランドになるよう注力を注いできた。
サンパイオさんは2019年にヴィクトリアズ・シークレットの姉妹ブランドPinkのモデルを始め、コザーニさんは同社のAmazon Prime Videoのファッションショー・ドキュメンタリーに登場。
ラゼック氏は2019年、サンパイオさんが起用された数日後にヴィクトリアズ・シークレットを辞職した。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。