アメリカ大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏が10月14日、ペンシルベニア州で開いたタウンホールミーティングで40分近く音楽を流し続けた。
タウンホールミーティングは候補者が参加者からの質問に答えるイベントだ。14日のイベントでは参加者2人が倒れる事態が発生して、その度に中断した。
トランプ氏は、会場が暑すぎるせいだと不満を口にしたものの、「個人的にはこの暑さが好きなんですけれどね、痩せるから」と発言。
「これで4、5ポンド(約2キロ)は痩せられるかもしれない」と会場の暑さを冗談にした後、質疑応答をやめると宣言した。
「もう質問はやめて、音楽を聴きましょう。音楽フェスにしよう。もう質問を聞きたい人なんていないでしょう?」
トランプ氏が「美しい音楽」を流すよう運営サイドにリクエストすると会場に「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」などの曲が流れた。
その後も「YMCA」などの曲が続き、トランプ氏は頭を揺らしたり手を動かしたりして踊り、音楽を楽しむ様子を見せた。
最終的に音楽を流し始めて40分近く経った頃、トランプ氏はガンズ・アンド・ローゼズの「ノーヴェンバー・レイン」が流れる中で参加者に手を振り、拳を築き上げてステージを後にした。
トランプ氏はこのタウンホールミーティングの内容に満足したようで「通常とは違うが、素晴らしい夜になった」と自身が立ち上げたSNSのトゥルースソーシャルでつづっている。
一方、トランプ氏の行動はSNSで「言葉がない」「オクトーバーサプライズか」などと突っ込まれ、民主党の大統領候補カマラ・ハリス氏も「彼が大丈夫だといいのですが」とコメントしている。
アメリカ大統領選挙では、7月まで民主党候補だったバイデン大統領は名前の言い間違いなどを、何度もメディアや共和党に追及された。
しかし11月の党開票日が迫るにつれ、トランプ氏の不明瞭な発音や、名前や場所の言い間違い、まとまりがない冗長なスピーチなどが指摘されるようになっている。
かつてはトランプ氏の支持者で、現在は批判的な立場をとっている元ニュージャージー州知事のクリス・クリスティ氏は、2020年にトランプ氏のスキル低下を感じたとニューヨークタイムズのインタビューに述べている。
「(大統領選挙討論会の準備を手伝った時に)2020年の彼は2016年ほど良くなかった。私は2016年にヒラリー・クリントン、2020年にはジョー・バイデン役を担当したが、20年に彼のスキルが16年よりも低下しているのに気付いた。そして、今もかなりの衰えが見られる」
「バイデン大統領と違い、トランプ氏はまだ肉体的な力強さやエネルギーはある。しかし彼の話を聞いていると、主張する能力が2016年に比べて今はほとんどない」