旧ジャニーズ性加害問題 被害者がSMILEーUP.の対応に懸念。世間の「もう飽きた」の声に思うこと

ジャニー喜多川氏の性加害問題で、被害を訴えてきた当事者らが10月9日、都内で記者会見を開き、SMILEーUP.(旧ジャニーズ事務所)のこれまでの対応を批判した。
旧ジャニーズ事務所(現SMILEーUP.)が正式に性加害の事実を認めてから9月7日で1年が経った
旧ジャニーズ事務所(現SMILEーUP.)が正式に性加害の事実を認めてから9月7日で1年が経った
Yuichi Yamazaki via Getty Images

ジャニー喜多川氏の性加害問題で、被害を訴えてきた当事者らが10月9日、都内で記者会見を開き、事件が「風化の一途を辿っている」と懸念を訴えた。

旧ジャニーズ事務所(現SMILEーUP.)が正式に性加害の事実を認め、藤島ジュリー社長の辞任や東山紀之さんの社長就任などの新体制を発表してから、9月7日で1年が経った。

会見では元所属タレントで被害を告発した志賀泰伸さん、長渡康二さん、中村一也さんの3人が今の気持ちを語った。

3人のうち唯一メジャーデビューをしている志賀さんは、SMILEーUP.社の対応が誠実さに欠けると指摘。言葉を詰まらせながら、こう問いかけた。

「ジュリー氏、東山氏、被害者一人一人の声を本当に聞いていますか?」「被害者に寄り添い、一生かけて命を削る覚悟でしたよね?」「あの言葉は、うそだったんですか?」

未来の子どもたちに同じ思いをさせたくないと、被害者への具体的な誹謗中傷対策や全容解明、より実効性のある再発防止策の提示を求め、「このままでは、必ず再発する」と訴えた。

中村さんは、事務所への被害申告は約1000人に上っているのにも関わらず、「政府や警察が動かない」と指摘。1年が過ぎた今、メディアによる報道も少なくなっている現状に言及した。

長渡さんは「世間的にはおそらくもう飽きたとか、こいつらまだ言ってるのとか言われると思います」と述べた上で、そうした日本の風習が変わり、「声を上げられる社会になってほしい」と語った。

会見中には、昨年10月に亡くなった、被害を訴えていた男性の遺族による手紙も代読された。

「ジャニーズ事務所は、被害者に寄り添っているように見せかけて、自分たちの保身しか考えていないように感じます。なぜ海外からしか日本のことを伝えられないのか。日本に報道機関はないのか。本当におかしいと思います」

「とにかく前に進まないといけないと思い毎日必死に過ごしています。事務所とはいろんな取り決めがあり事実を言えない悔しさやつらさはありますが、私たちは誠実に進んでいきたいと思います」

SMILEーUP.によると、これまで約1000人からの被害申告があり、504人と補償の内容で合意したという。在籍や被害の確認ができず補償の対象とならなかった人も200人以上いる。

同社は公式サイトで、誹謗中傷の被害に遭った人へのホットラインを紹介。被害者救済委員会を設置し、補償の他にも、心のケア相談窓口の開設や、ウェブサイトで誹謗中傷をやめるよう呼びかけをするといった取り組みをしている。

補償状況や再発防止策の実施状況などに関する報告はウェブサイトで発表されているが、2024年に入ってから一度も会見などによる報告は行われていない。

注目記事