メキシコの市長、就任から1週間もせずに殺害。頭部が車の屋根に置かれた写真が拡散、麻薬組織の犯行とみられる

メキシコでは麻薬組織が自分たちの要求を通すやり方として、地元自治体のトップである市長を標的にすることも頻発しています。

メキシコで、政治家がまた1人犠牲になった。9月30日にゲレロ州チルパンシンゴ市の市長に就任したばかりだったアレハンドロ・アルコス氏が遺体で見つかった。麻薬組織の犯行とみられている。

CNNAP通信など大手メディアが報じている。

メキシコでは政治家を標的とした凶悪事件が後を絶たない。日本の外務省はチルパンシンゴ市とその周辺地域について危険レベル3(渡航中止勧告)に指定している。自警団を名乗る武装集団や犯罪組織間での抗争のほか、それらの集団が治安当局と衝突することもあり、誘拐事件や殺人が多く発生しているという。 

BBCによると、アルコス市長の遺体は6日に発見された。市長就任からわずか6日後のことだった。

SNS上で拡散している犯行現場で撮影されたとされる写真には、ピックアップトラックの屋根に置き去りにされた市長のものとみられる頭部が写っていると、ガーディアンが伝えている。市長の体は車内で見つかった。

同市では9月29日と10月3日にも市幹部や警備司令官の内定者が射殺されている

アルコス市長は殺害される直前に応じた地元メディアの取材に、「警護を強化してもらいたい」と話していたという。

市長の事件後、別の4人の市長がメキシコ政府に警護を要請した。ゲレロ州と同じく暴力犯罪が横行しているグアナファト州の市長たちだ。

AP通信によると、チルパンシンゴ市では2つの麻薬組織が対立を繰り広げている。逮捕者の釈放を求め、政府専用車の乗っ取りや警察官を人質に取るなどの暴挙にも出ている。

麻薬組織の利権をめぐる対立・抗争

日本の外務省はメキシコについて、麻薬の密造や密輸、密売の麻薬に関連した犯罪のほかにも人身売買、誘拐、恐喝、「通行料」や「場所代」といったみかじめ料の要求など犯罪が横行しているとしている。 

麻薬組織が自分たちの要求を通すやり方として、地元自治体のトップである市長を標的にすることも頻発しており、悪化する治安対策が喫緊の課題となっている。

メキシコでは10月1日に新たな大統領が誕生し、課題解決の道筋をつけることが望まれている。

注目記事