アメリカ・ジョージア州で、妊娠6週ごろ以降に人工中絶を禁止する州法が差し止められてから1週間。州最高裁が禁止する法律の効力を戻すと発表した。下級裁判所による差し止め判断に州政府が上訴していることを受けたものだ。
高裁での6対1の採決を受け、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する法律は10月7日午後5時(現地時間)に効力が戻ることになった。生殖にまつわることを自分で決める権利の擁護派にとっては、大勝利が覆されることになる。
アトランタ市にあるクリニック「Feminist Women’s Health Center」のKwajelyn Jackson所長は州最高裁の決定を受け、「患者が必要とする生殖に関する医療へのアクセスを奪うもので、残酷なことだ」と述べた。
「妊娠6週間以降に中絶が必要な患者を断らねばならなくなる。必要な医療を提供できる態勢が整っているにもかかわらず、その医療を提供できない」とJackson所長は憤りを口にした。
今回の決定にただ1人反対したJohn Ellington判事は、「州は、州憲法の下で認められている基本的権利を侵害する法律を施行するべきではない」と反対意見の中で述べている。
ジョージア州で妊娠6週間ごろ以降の中絶を禁止する法律が施行されたのは、2022年。連邦最高裁が「ロー対ウェイド」の判決を覆した1カ月後のことだった。
フルトン郡裁判所のRobert McBurney判事は人工中絶を禁止する州法を差し止めるにあたり、この法律が「集団で保有する共同財産の一部」のように女性を扱っているとして、胎児が22〜24週ごろに達して生存ができるようになるまでは、同法は州憲法を侵害することになるとしていた。
中絶禁止が再び効力を持つことは、最近明らかになったことを踏まえるととんでもないことだという指摘も出ている。
「Center for Reproductive Rights」の所属弁護士のAlice Wang氏は談話を発表し、「中絶の禁止によってすでに何人もの女性が命を落としている。それにも関わらず、Carr司法長官はさらなる命が奪われることを確実にした。今回の判断はまちがいなく一部の女性にとっては死刑宣告となる」と非難の声をあげている。
調査報道専門サイト「プロパブリカ」は9月、中絶が禁止されていることで28歳のAmber Nicole Thurmanさんが本来であれば亡くならずにすむところ、犠牲になったことを明らかにした。数日後に亡くなった41歳のCandi Millerさんも中絶の禁止が影響しているという。
ジョージア州最高裁は、中絶を受けた患者の医療記録に州検察がアクセスできないとする判決については当面のところ据え置く。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。