アメリカ・ミネソタ州知事で民主党副大統領候補のティム・ウォルズ氏は10月6日、生殖にまつわることを自分で決める権利に関する右派の論点について、人工妊娠中絶の権利を制限する政策の結果として女性の医療へのアクセスが低下している現実から注意をそらすものだと強調した。
大統領選挙を1カ月後に控え、保守系の「Fox News Sunday」に出演し、述べた。
中東問題や経済、自身の失言などについて聞かれた後に、司会者から人工中絶の権利に対する考えを厳しく追及されたウォルズ氏は、中絶の権利を保障するミネソタ州法を知事として成立させたことを改めて説明した。同法について、「いかなる状況下でも、いかなる症状でも」医療を提供する医師の行動にかなっていると主張した。
ウォルズ氏は「女性たちが流産を余儀なくされ、自宅に戻され、敗血症になり、亡くなることもある。実際にそのような実例があるテキサス州では、妊産婦の死亡率が急上昇している」と話した。
司会者は、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が全米レベルで中絶を禁止はせず、州の判断に任せる方針だとし、不妊治療の支援についても公言していると紹介した。
女性が人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」は、トランプ氏が大統領在任中に指名人事した連邦最高裁によって2022年に覆されている。
トランプ氏が全米レベルで中絶を禁止しない考えを示していることについて、司会者から「真っ赤な嘘だと思うか」と問われたウォルズ氏は「もちろんだ」と返答。「トランプ氏らは選挙の争点と考えているのだろうが、我々は女性が自分たちの体に関することを決める権利を持つことだと考えている」とし、「アメリカの人々は『ロー対ウェイド判決』が元に戻ることを望んでいる。ハリス副大統領は(大統領に選ばれたら)署名するつもりだ」と述べた。
インタビューの後半では、司会者がウォルズ氏による過去の発言を追及した。ウォルズ氏は妻との不妊治療について、IVF(体外受精)を受けたと説明していたが、実際にはIUI(人工授精)だった。
この点を問われたウォルズ氏は「正直なところ、私たち夫婦がどっちを受けたか気にする人はいないのではないか。みんながわかっていることは、トランプ氏はこれら(不妊治療)に反対だってことだけだ」と反論した。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集し、加筆しました。
【訂正】2024/10/10 11:00
ウォルズ夫妻が受けた不妊治療について、訂正しました。