布団のダニ対策が必要な理由とは?
家のなかでも、ソファやカーペットなどはダニが繁殖しやすく、重点的に対策を行いたい場所です。そして忘れてならないのが、1日の3分の1を過ごす寝具です。
「私たちが毎日使っている布団には、想像以上に多くのダニが潜んでいる」と、ダニの生態と行動に詳しい日革研究所(兵庫県)の中田研究員は、対策の必要性を強調します。
「布団はダニが好む条件が揃いやすく、繁殖に適しているからです。人は睡眠中、汗をかいたり、アカやフケを落とします。また体温によって寝具が温められるため、ダニが好む温暖で多湿な環境が整うのです。またエサも供給され、ダニにとっては“快適な環境”というわけです」(中田さん)
「布団に掃除機」を検証
寝具のうち、シーツや布団カバーなどは丸洗いして天日干しすることができますが、布団は掃除機で吸い取るのが一般的です。
「日革研究所では、一般的な掃除機を布団にかけると、どの程度ダニが吸い取れるのかを検証してみました。
使ったのは家庭でよく使われている、サイクロン式、ハンディタイプ、紙パック式の3タイプです。
室内によくいる『ヤケヒョウダニ』を布団に放ち、各掃除機で吸引して、【敷布団表⾯】【内部上層】【内部】から吸い取れたダニの数をカウントしました(※)」(中田さん)
「結果は、どのタイプの掃除機も、布団表面のダニとダニの死骸やフンについては吸引できていたのですが、布団内部の生きているダニについては、ほとんど吸引できていませんでした。
実は、ダニの脚先は吸盤のような形状をしていて、布団の繊維にしっかりしがみつくため、掃除機で吸引して除去するのは難しいのです。家庭で掃除機だけで布団のダニを除去するのは難しいと考えられます」(中田さん)
掃除機ではダニ対策にならないのでしょうか。
「効果がないわけではありません。ダニの死骸やフンは掃除機で取り除けます。ダニアレルギーの原因物質を減らすことはできるので、定期的に掃除機をかけることをおすすめします」(中田さん)
正しい掃除機のかけ方
布団からアレルゲンを取り除くために、効果的なかけ方があるといいます。
「ポイントは、掃除機のパワーを最大にして、ゆっくり時間をかけることです。
まず、掃除機をかける前に布団を叩いて、布団内部のダニの死骸やフンを表面に移動させます。そして、最掃除機のパワーを最大にして、ゆっくり全体をまんべんなくかけます。30秒/㎡が目安です。
ゆっくりかけることでダニの死骸やフン、そして人のフケなども取り除けます。また、表側だけでなく、裏側もしっかりかけましょう。
布団の裏側は湿気がこもりやすいので、ダニが繁殖しやすい環境となっています。掃除機を両面にかけることで、より多くのダニやダニの死骸、フンなどが取り除けます」(中田さん)
布団に潜むダニを退治する方法
布団に生きて潜むダニは退治できないのでしょうか。
「布団乾燥機を使うと、ある程度の効果が期待できます。ダニは『高温』と『乾燥』が苦手です。布団乾燥機なら、布団全体を温め、内部まで乾燥させることができます。ダニは50℃以上なら数時間で死滅するので、高温になるタイプを選ぶといいでしょう。布団乾燥機でダニ退治をした後は、必ず掃除機をかけましょう。
洗えるタイプの布団なら丸洗いするか、クリーニングに出すのもいいでしょう。そのほか、ダニ対策スプレーやダニを集めて捕獲するシートなどもあります。こうした方法で生きているダニを減らしつつ、定期的に掃除機をかけると、ダニ対策の効果を上げることができるでしょう」(中田さん)
布団のダニ対策をしっかりして、秋も健やかに過ごせるようにしましょう。
参考資料など
取材協力/日革研究所
※一般掃除機による布団内部の生きているダニ吸引可否検証
1.布団の表面に1,000匹、内部上層(側生地と中綿の間)、内部(中綿と中芯の間)に5,000匹の生きたダニを放つ
2.各掃除機の「強モード」で「2分間」吸引
3.これを5回繰り返す(表面のみ3回)
4.パック(あるいはダストボックス)を洗い、捕獲したダニを取り出す
5.実体顕微鏡でダニが何匹吸引できたかを目視でカウントする
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