「令和の米騒動」とまで言われて店頭からお米が消えた時期も過ぎ、やっと潤沢に新米が並ぶようになりました。
ウェザーニュースで新米に関するアンケート調査を実施したところ、すでに新米があると回答した人の割合が半数を超えていることがわかりました。
新米を買えるようになると、家に残っている古米を美味しく食べきりたいと思う方も少なくないと思います。
そこで、お米の扱い方や古米の美味しい食べ方について、“お米のプロ”である「五ツ星お米マイスター」の東京・原宿「小池精米店」三代目店主・小池理雄(こいけ・ただお)さんに解説していただきました。
お米は乾燥していても「生鮮食品」
お米を生鮮食品と考えたことはありますか?
「お米はさらさらと乾いていて、しかも専用の袋に入って積み上げられて販売されることが多いので、生鮮食品という感じはしないかもしれません。しかし、お米は稲から穫れた農産物で、まぎれもない生鮮食品です。
確かに、米袋には賞味期限や消費期限は明記されていないものの、精米時期が印刷され、鮮度がわかるようになっています。
精米時期が明記されているのは、精米は玄米の糠層の別名『果皮』、つまり実(お米)の皮をむくことなので、むけば鮮度は落ちていくからです。鮮度が落ちる前にできるだけ早く食べてくださいね、という意味で明記されているのです」(小池さん)
低温で保存するとダブルでメリットが
生鮮食品であるお米を、なるべく鮮度を落とさないようにするには、どのように保存すれば良いのでしょうか。
「お米は買ってきたら早く食べきるのがベストです。しかしキロ単位で売られているお米をすぐに食べきるのは難しいですよね。そのため保存することになるのですが、その場合は低温で保存するのがベストです。
というのも、米は農産物、生鮮食品である以上、コクゾウムシ、マダラメイガ、シバンムシなどの虫がつくことがあります。これらの虫は精米の過程でほぼ除去することができます。
しかし、コクゾウムシだけはまれに米粒の中に入り込んでいる場合があり、外気温が25℃以上になると米粒から出てくることがあるのです。そこで低温で保存することにより、コクゾウムシの発生を防ぐことができます」(小池さん)
また、お米は呼吸すると鮮度が落ちる性質があります。
「低温下では呼吸を抑えられるので、鮮度が落ちるのを防げることから、低温保存がおすすめなのです。
そして保存には温度管理だけでなく、空気をなるべく遮断することも必要です。ペットボトルやチャック付き保存袋に入れて空気を遮断し、冷蔵庫で保存するのがベストです」(小池さん)
味付けご飯で美味しく
残った古米はどうすれば美味しくいただけるでしょうか。
「古米の食べ方として、食用油や備長炭などを入れてから炊飯すると良い、ということはよく言われています。
今は流通過程での精米の管理がしっかりしていて、以前より古米の味は落ちにくくなっていますが、それでもやはり新米に比べれば香りの良さやふっくら感は損なわれやすいので、そのまま白飯として食べる場合は新米の方がおすすめです。
もし古米が余っている場合は、白飯ではなく味付けご飯、例えばチャーハンや炊き込みご飯、カレーライスなどでいただくと良いでしょう。
とはいえ、お米を美味しく食べるなら、なるべく早く、が大原則です。あまり大量に購入するのではなく、適度な量を購入し、正しく保存した上で、できるだけ早く消費しましょう」(小池さん)
これから本格的に新米が出回ります。その前にストックしておいたお米を美味しくいただきましょう。
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