まだまだジメジメした湿度が高いカビの季節が続きます。なかでも湿気の多いお風呂場に、「赤色の汚れが発生して困っている、効果的な対策を知りたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。
除カビ・防カビの専門会社のハーツリッチ株式会社ハーツクリーン事業部の穂苅(ほかり)さんに、赤カビの除去方法と予防法を教えていただきました。
どうして赤カビが発生するのか
そもそも赤カビとは何なのか、どうして発生するのか、放置するとどうなるのかを伺いました。
「赤カビはピンク汚れやピンクヌメリとも呼ばれますが、正式にはロドトルラという酵母菌の一種です。馴染みのない言葉なので、ここでは赤カビと呼ぶことにします」(穂苅さん)
発生する主な原因は、次に挙げる3つです。
(1)高湿度や水分の残留
お風呂場はお湯を使うため、湿度が高く保たれる場所です。
「入浴後に水滴や水分が壁や床、タイルの目地に残っていると、赤カビが発生しやすい条件が整います。このような環境下で、赤カビは短期間で広がってしまうのです」(穂苅さん)
(2)20~30℃の温度
「赤カビが繁殖しやすい温度は、20~30℃です。夏場はもちろん、お風呂場は冬でもこの温度帯になることが多くあります。暖かい温度は赤カビの繁殖速度を速め、短期間で目に見えるまでに広げてしまいます」(穂苅さん)
(3)皮脂や垢などの栄養源
「赤カビは人の皮脂や垢などを栄養源に成長します。これらの有機物は、シャンプーボトルの裏や排水口などにも溜まります。栄養源豊富な場所は、赤カビの温床となるので注意が必要です」(穂苅さん)
赤カビを放置するとどうなるのでしょうか。
「まず、繁殖が速いため一気に広がります。あらゆる場所に広がると除去が困難になるので、発見したらすぐに対処することが必要です。
赤カビを放置すると、黒カビの発生原因になります。黒カビは赤カビを栄養源として繁殖し、市販のカビ取り剤では完全に除去できないくらい頑固です。
黒カビは、健康被害を引き起こすことでも知られています。黒カビの胞子を吸い込むと、喘息やアレルギー症状を悪化させることがあり、人によっては重大な健康被害が発生します。
赤カビ自体が直接的な健康被害を生むことは少ないのですが、赤カビも胞子を放出するため、アレルギー反応を引き起こすこともあり得ます」(穂苅さん)
赤カビが発生したらどうすればいいか
では、発生した赤カビはどうすれば除去できるのでしょうか。
「まず知っておいていただきたいのは、赤カビが酸性の性質を持っていることです。酸性の汚れを効果的に除去するには、アルカリ性の洗剤が推奨されています。しかし、アルカリ性の洗剤は取り扱いに注意が必要です。そこで、汚れのレベルに応じたおススメの方法を紹介します」(穂苅さん)
▼レベル1:軽度の赤カビ
お風呂用の中性洗剤、スポンジ、タオルを用意してください。
「洗剤を赤カビが発生しているところにスプレーし、数分間放置して汚れを浮かせます。次にその部分をスポンジで優しく擦ります。最後にシャワーで洗剤と汚れを洗い流し、タオルで水気を拭き取って完了です」(穂苅さん)
▼レベル2:中等度の赤カビ
重曹、器、スポンジ、タオル、ゴム手袋を用意してください。
「ゴム手袋を着用し、器に重曹と水を入れて重曹ペーストを作ります。重曹と水の割合は3:1が目安です。
赤カビが発生している部分に重曹ペーストを塗り、15分ほど放置します。次にその部分をスポンジで優しく擦ります。最後にシャワーで重曹ペーストと汚れを洗い流し、タオルで水気を拭き取って完了です」(穂苅さん)
▼レベル3:重度の赤カビ
塩素系カビ取り剤、中性洗剤、スポンジ、タオル、マスク、ゴム手袋、ゴーグル、長袖の服(色落ちしても問題のないもの)を用意してください。
「中性洗剤とスポンジで表面の汚れを除去します。シャワーで洗い流した後、濡れている箇所をタオルで拭き取ります。
次にカビが発生している部分とその周辺に塩素系カビ取り剤を吹きかけます。10~15分放置しますが、カビがひどい場合は放置する時間を長くしてください。最後にシャワーでカビ取り剤の成分が残らないようにしっかり洗い流し、タオルで水気を拭き取って完了です。
なお、塩素系カビ取り剤を使う場合は、酸性タイプの製品と混ぜないようにしてください。危険な塩素ガスが発生する恐れがあります。必ず換気しながら作業し、マスク、ゴム手袋、ゴーグル、袖の服を着用して、肌や目を保護してください」(穂苅さん)
赤カビの発生を予防するには
日常的な予防策で、赤カビの発生を抑えることができるのでしょうか。
「まず、換気を徹底してください。赤カビを防ぐためには、湿気を取り除くことが最も重要です。換気扇を回すだけでなく、窓があれば開けて外気を取り入れましょう。
次に、入浴後に浴室全体にシャワーをかけ、皮脂などカビの栄養源を洗い流してください。特に赤カビが発生しやすいシャンプーボトルの底や排水口周りは入念に流すことが重要です。
入浴後、浴室内の水分をしっかり拭き取ることも、赤カビの発生防止に有効です。スクイージーや吸水性の高いマイクロファイバークロスを使って、壁や床、鏡、シャワーカーテンなどに残った水滴を取り除いてください。
赤カビの発生を防ぐには、週に1回程度、こまめな掃除が不可欠です。中性洗剤や重曹で浴室全体を掃除しましょう。
浴室の収納方法を工夫することも、赤カビの発生防止に役立ちます。シャンプーボトルや石鹸ケース、スポンジなどを床や棚に直接置かず、吊るす収納にすると水が溜まりにくくなります」(穂苅さん)
湿度が高いカビの季節でも、しっかり赤カビの発生を防いで、お風呂場を清潔に保ちましょう。
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