行楽シーズンにキャンプやバーベキューなどでよく使うテントやタープ。雨の日に使用したテントやタープを、乾かさずに片付けてしまうと、カビが発生してしまいます。
これからも続くアウトドアシーズンを楽しむために、応急処置としてカビを取る方法はないでしょうか。
除カビ・防カビの専門会社のハーツリッチ株式会社ハーツクリーン事業部の穂苅(ほかり)さんに、テントやタープに生えたカビの取り方とカビの防ぎ方を教えていただきました。
テントやタープの生地素材とコーティングの種類
テントやタープにはいろいろな種類がありますが、どの生地にカビが生えやすいのでしょうか。
「コットンは通気性がよく、夏場に涼しいのが特長です。結露に強い素材ですが、使用後に乾燥させないとカビが発生します。防水性がないので、湿気対策などのメンテナンスが必要です。
最もスタンダードな素材であるポリエステルは、耐水性があり、乾きやすく、丈夫で価格もリーズナブルなのが特長です。しかし通気性が悪いため、内部が蒸れてカビが生えることがあります。
ナイロンはポリエステルより軽く柔軟性があります。比較的カビが生えにくい素材ですが、汚れや湿気を放置するとやはりカビが生えます。
ポリコットンはポリエステルとコットンを混ぜた素材です。両方の長所を併せ持っていますが、雨や湿気に強くはありません」(穂苅さん)
テントやタープのコーティングにはどんな種類があるのでしょうか。
「スタンダードなのはポリウレタンコーティングです。湿度が高いと劣化するので、濡れたら早く乾かす必要があります。
もう一つはシリコンコーティングです。ナイロン生地にコーティングするので防水性が高く、生地の強度が上がります。濡れた場合に早く乾かさなければならないのは、ポリウレタンコーティングと同じです」(穂苅さん)
テントやタープには、どうしてカビが生えるのか
アウトドアで使うテントやタープには、なぜカビが生えるのでしょうか。
「最大の原因は、雨や夜霧などで濡れてしまったテントやタープを、乾かさずに片付けてしまうからです。濡れた状態をそのままにしておくと、やがてテントやタープにカビが生えてしまいます。
汚れたままの状態で片付けてもカビが生えます。テントやタープは屋外で使用するものなので、土や砂埃と一緒に、土壌中にある大量のカビの胞子も付着するからです。
カビはテントやタープの素材そのものも栄養源にしてしまうので、土や砂埃の汚れを残して収納すると、カビを育てていることになります。
そのほか、テントやタープの収納袋が汚れている、通気性の悪い場所で保管している、収納場所にカビが生えている、といった場合もカビの原因になります」(穂苅さん)
テントやタープのカビは、こうしたら取れる
テントやタープにカビが発生してしまったら、どのような方法で取ればいいのでしょうか。
「塩素系漂白剤を使うと生地を傷めてしまうので、軽度のカビであれば中性洗剤で落としてください。
中性洗剤を少量含ませた雑巾でカビを拭き、風通しの良い場所でしっかり乾燥させます。中性洗剤はカビ自体を殺菌しているわけではないので、しっかり乾燥させないとカビが再発します。乾燥後、防水スプレーをかけるとカビや汚れの防止になります。
消毒用エタノールでカビを取る方法もあります。
薬局やドラッグストアで販売されている消毒用エタノールを100円ショップなどで購入できるスプレーボトルに入れて吹き付け、生地に浸透させます。水気の残っている箇所は布巾などで拭き取り、よく乾燥させると完了です。
消毒用エタノールはカビを殺菌しますが、カビによる着色を落とす効果はありません。また、素材によっては使用を避けたほうがいいものもあるので、確認してから使ってください。
中性洗剤や消毒用エタノールで落ちない場合は、酸素系漂白剤で落とせます。ただし、生地を傷めてしまうことがあるので、目立たない場所で試してから使ってください。
バケツに40~50℃のお湯を溜め、酸素系漂白剤を加えて薄めます。そこに雑巾を浸し、カビの生えている場所を軽く叩くように塗布します。10分ほど時間を置き、固く絞った雑巾で洗剤を拭き取ると完了です。
使える素材か確認することと、ゴム手袋を着用し、換気を行うことを忘れないでください。
汚れがひどい場合は、テント専用クリーニングを利用する方法もあります」(穂苅さん)
テントやタープをカビさせないためには
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