カナダ出身でオジ・クリー族の俳優ディ・ファラオ・ウーン・ア・タイさんが、9月15日(現地時間)にロサンゼルス開催された第76回プライムタイム・エミー賞で、言葉を使わずに強いメッセージを伝えた。
レッドカーペットに登場したウーン・ア・タイさんの顔には、口に覆い被さるような赤い手形のフェイスペイントが描かれていた。
この赤いフェイスペイントは、北米に蔓延する先住民族の女性への暴力に警鐘を鳴らす象徴だ。
国立先住民女性リソースセンターによると、アメリカでは先住民の女性が殺される割合は平均より10倍高く、性的暴行の被害に遭う割合も高い。
しかし、アメリカやカナダの先住民族女性たちへの暴力に対する十分な対策や調査は行われていない。
NPOネイティブ・ホープによると、口に覆い被さる赤い手形は、この問題を伝えるMMIW(行方不明になったり殺害されたりした先住民女性 / Missing and Murdered Indigenous Women)運動のシンボルになっており、「メディアと警察の沈黙」や「先住民族の女性に対する抑圧」を表している。
CNNによると、ウーン・ア・タイさんはレッドカーペットの写真をインスタグラムに投稿し「自分のためでも、皆さんのためでもなく、ここにいない人たちのためにやったんだ」とつづった。
ハワイ出身の俳優アウリイ・クラヴァーリョさんも、2023年にニューヨークで開催されたAmazonプライムビデオのドラマシリーズ『The Power』のプレミア試写会で、顔に赤い手形のフェイスペイントをしている。
第76回エミー賞では、テレビ業界で活躍する先住民族たちが脚光を浴びた。
ウーン・ア・タイさんはドラマ「レザベーション・ドッグス」でコメディ・シリーズ部門主演男優賞にノミネートされた。バラエティによると、先住民族の俳優が、主演男優賞にノミネートされたのは初めてだ。
また、俳優のリリー・グラッドストーンさんとカーリー・レイスさんは、アメリカ先住民族の女性として初めて、エミー賞の演技部門にノミネートされた。