医師の半数近くが「患者からセクハラ」。不適切な接触や性的発言も。英大学が調査

世界7カ国・約1万8800人の医師を対象にしたロンドン大学の調査で、女性医師の52%、男性医師の34%がセクハラ被害を受けていたことが判明した。
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医師の半数近くが、患者からセクハラ被害を受けたことがある━。

そんな調査結果を、英ロンドン大学バーベック校が公表した。

同校のサイトや英紙ガーディアンによると、調査では世界7カ国の計約1万8800人の医師を対象とした22の研究論文を分析。その結果、45%の医師がセクシュアルハラスメントの被害に遭っていたことが分かった。

男女別では男性34%に対して女性が52%で、女性医師の方が被害に遭う割合が高い結果となった。

同校は「これまでの調査では、医師に対する患者からの暴力が一般的であることが明らかにされていたが、今回は、医師のセクシュアルハラスメント被害に光を当てた初めての調査結果だ」と説明している。

具体的にどんなセクハラが報告されているのか。

調査では、被害事例として▽医師に性的な関心を向ける▽性的な冗談を言う▽デートに誘う▽恋愛対象に送るようなメッセージや手紙▽不適切に体を触る━などがあった。ストーカー行為やレイプ被害を調査した論文はなかった。

調査対象となった7カ国は、アメリカ、イギリス、イスラエル、オーストラリア、カナダ、ドイツ、マレーシア。セクハラ被害を受けた医師の割合は国別ではイギリスが最も高く、次いでカナダ、オーストラリア、アメリカ、イスラエルと続いた。

一方、同校は国によって調査対象となる医師の専門分野などに違いがあったとも説明している。

いくつかの論文では、セクシュアルハラスメントの経験によって医師が身体的な危険を感じ、自宅にセキュリティ機器を設置したり、職場を変えたりするケースも確認されたという。

調査を主導したキャロライン・カマウ=ミッチェル博士は、「私たちの調査は、患者からストーカーやハラスメントを受けた医師に関する報道を読み、『医師らを守るべき立場にいる人たちに話を聞いてもらえず、信じてもらえなかった』という証言を目にしたことがきっかけでした」と説明。

医師のセクハラ被害に関する研究がほとんど行われていないことを知り、調査に乗り出したという。

ミッチェル氏は「病院や診療所が調査結果を真摯に受け止め、防犯カメラや警報器の設置など、隔離病棟や夜勤、あるいは一人で働く医師を守る手段を取ることを提案します」と訴える。

一方で、罪のない患者たちの個人情報や疾患に関する守秘義務を遵守するために、防犯カメラの使用については慎重な検討が必要だとも指摘している。

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