京都市とLGBTQ当事者が企画の「絵本」。子どもに伝えたい「らしさは社会ではなく自分が決めて良い」メッセージ

子どもから大人まで全ての人に自分自身を大切にしてほしいというメッセージが込められた絵本「なにでもないもん」。周囲から性別という枠組みを押し付けられるという生きづらさが描かれている。

「性の多様性」をテーマにした絵本を子どもたちに読んでもらおうと、京都市や関西地方のLGBTQ支援団体などで作るプロジェクトチームが、クラウドファンディングを実施している。

集まった寄付は、絵本を市内の約800カ所の幼稚園や小学校などに届けるため、書籍の購入費や絵本の展示費用などに使う予定。目標金額は250万円で、10月31日まで募っている。

◆「らしさ」は社会ではなく自分が決めて良い

なにでもないもん
なにでもないもん
岩崎書店

クラウドファンディングを企画したのは、京都市が2023年に立ち上げた『市民ぐるみ「多様な性の在り方が尊重される京都」推進ネットワーク』。

会議の中でLGBTQ当事者らから、幼少期から出生時に割り当てられた「性別らしさ」を押し付けられたり、いじめやアウティング(本人の許可なく第三者に性のあり方を暴露されること)の被害を受けたりしたこと、講演などで小学校などに行くと今も同じように悩んでいる子どもに多く出会うことを聞いた。

自分のことは自分で決めることの大切さや性の多様性を知ってもらうことで、そうした現状を改善できるのではと考え、絵本の制作を決めた。

タイトルは「なにでもないもん」(岩崎書店が2025年に一般販売予定)。少年アヤさんが文章、阿部海太さんが絵を担当した。

絵本には子どもから大人まで全ての人に自分自身を大切にしてほしいというメッセージを込めた。周囲から性別という枠組みを押し付けられ、どちらでもない、「なにでもない」自分をなくし、生きづらさを感じているという葛藤が描かれる。

プロジェクトリーダーの大久保暁さんは「周囲の大人の価値観の影響を受けて、生きづらさを抱えている子どもがたくさんいると感じています。自分らしさは社会ではなく自分が決めて良いこと、好きなものは堂々と好きだと言って良いこと、それをお互いに尊重できれば素敵だよねということが、絵本を通して伝われば嬉しいです」と話す。

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