知ってた?地球温暖化とヒートアイランド現象の違い。97.5%が「10年前よりも暑い」専門家が解説

「10年前と比べて夏の暑さはどう?」と聞いたところ、「かなり暑くなった」が圧倒的な多数を占めているそうです。
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今年の夏も、毎日、暑いですね。この夏の期間(6〜8月)の日本の平均気温は速報値で平年を1.76℃上回り、1898年の統計開始以降、これまでの記録を大幅に更新した昨年と並ぶ、過去最高となりました。

ウェザーニュースでも、「10年前と比べて夏の暑さはどう?」というアンケート調査を実施したところ、「かなり暑くなった」が圧倒的な多数を占めています。「少し暑くなった」(9.1%)を合わせると、97.5%の人が10年前よりも暑くなったと感じているようです。

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暑くなっている根本は地球温暖化(気候変動)の問題ですが、それとは別に「ヒートアイランド現象」の影響もあります。

そもそも、ヒートアイランド現象とは何なのでしょうか。地球温暖化とどう違うのでしょうか。気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の解説を交えて紹介します。

◆A/都市の気温が周辺部よりも高くなることで、緑地の減少などが原因です。

「ヒートアイランド現象とは、都市の気温がその周辺部より高くなる現象のことです。ヒートアイランド(heat island)は『熱の島』と訳せます。気温の分布図を見てもわかるように、高温のエリアが『島』のように見えることから名づけられました」(江守さん)

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「ヒートアイランド現象は、緑地の減少、アスファルトやコンクリートの蓄熱、人工排熱、風通しの悪化などによって起こります」(江守さん)

人工排熱は、建物内で使う冷暖房や工場での生産活動、自動車の利用などで発生する熱のことです。

また、高層ビルなどがあることで風通しが悪くなり、それによって、熱が地面にこもりやすくなり、ヒートアイランド現象の原因になります。

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では、地球温暖化とは何でしょうか。

「概要を説明すると、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが増えすぎることで地球の平均気温が上昇し、それに伴い、気候のさまざまな要素が変化することです。地球温暖化と気候変動は基本的には同じ意味ですが、文脈によっては、異なる使い方をすることもあります。

地球温暖化(気候変動)の主な原因は人間活動で、これは自動車や電車に乗ったり、照明器具や冷暖房を使ったり、お風呂に入ったり、料理をしたりする私たちの活動のことです。

これらの活動の大部分は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やすことによって得られるエネルギーを使って行われています。その際に発生した二酸化炭素などの物質が、温室効果ガスとして地球温暖化を引き起こしています」(江守さん)

Q2/ヒートアイランドで都市部は本当に暑くなっているの?

◆A/東京、横浜、大阪などの大都市の気温は中小都市より高くなっています。

気象庁で「都市化率と平均気温等の長期変化傾向」を公表しています。

そこでは、札幌、仙台、東京、横浜、新潟、名古屋、京都、大阪、広島、福岡、鹿児島の11の都市(大都市)と、地域的に偏りなく分布するように選出した網走、山形、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、石垣島などの都市化の影響が少ない15地点の平均気温等を比較しています。

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この比較を見ると、大都市は大都市以外に比べて、より暑くなっていることがわかります。

「過去100年あたりの年平均気温の上昇傾向で比べると、日本で都市化の影響が少ない15地点平均が1.7℃に対して、東京、福岡、名古屋、横浜、札幌、京都はそれぞれ、3.4℃、3.1℃、3.0℃、2.9℃、2.8℃(札幌と京都)です。過去100年の年平均気温の上昇度合いは、東京が全国1位であることもわかります。

大まかに考えて、1.7℃分が地球温暖化で、各地点の値から1.7℃を引いた分が都市化の影響と見ることができます。この都市化の影響がヒートアイランド現象です」(江守さん)

たとえば、東京の場合、3.4℃-1.7℃=1.7℃で、約1.7℃の平均気温の上昇分はヒートアイランド現象によると考えられます。

ヒートアイランド現象には、季節や昼夜による違いもあります。

「ヒートアイランド現象では、夏季よりも冬季、昼間よりも夜間の気温差が大きくなることが知られています。

特に冬季や夜間の気温上昇に関しては、東京や横浜などの大都市でその傾向が顕著です。これはヒートアイランド現象の特徴と考えられます」(江守さん)

Q3/夏のヒートアイランド現象を緩和する方法はあるの?

◆A/緑地を増やせば、その周りの気温を下げる効果を期待できます。

「都市に公園などの緑地を増やすことは、都市の夏の気温を下げることに一定の効果を期待できます。

植物は土壌の水分を根から吸い上げて気孔から蒸散させることによって、植物体とその周りの空気を冷やします。まず、このことの影響があります。

さらに、樹冠(じゅかん/樹木の上部で葉が茂っている部分)の下は、日射が遮られて、日陰が作られます。これによっても気温が下がるでしょう。

一般に、緑地を増やせば、その周りの気温を下げる効果が期待できるし、屋上緑化も同様の効果を期待できると考えられます」(江守さん)

夏に木が生い茂った公園などの横を歩くと、少し涼しいと感じた経験を、多くの人が持っているのではないでしょうか。

コンクリートやアスファルトだけでなく、木々や草花や土も、やはり大切な存在であることがわかります。

東京をはじめとした大都市は、地球温暖化に加えて、ヒートアイランド現象によっても、暑くなっていることがわかりました。

都会に住む人にとっては、ダブルパンチを食らっている状況ですが、いずれも、主な原因を作っているのは私たち人間です。

社会のあり方やシステムを変えるなどして、地球温暖化を止めると同時に、ヒートアイランド現象も緩和させることが大切です。

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ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。

監修/江守正多

東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)

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