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ペットを飼ったはいいものの、「思っていたのと違ったから」「引っ越し先がペットを飼えないから」という自分本位な理由から途中で投げ出す無責任な飼い主が問題視される昨今。
漫画家の桜井海さん(@sakurai_umi_)による「命を飼うということ」という漫画が話題を呼んでいます。
今作は孤独な天才ピアニスト・神田冬樹とペットショップで売れ残っていた猫・ふくまるの心温まる日々を紡いだ漫画『おじさまと猫』(スクウェア・エニックス)3巻に収録されており、神田のライバルである日比野奏とその飼い猫・マリンの出会いを描いた作品です。
かわいがってもらえると思ったのに…
おばあさんに気に入られ、「マリンちゃん」と名付けられた猫。はじめこそ可愛がられたものの、大きくなるにつれ放置されるようになってしまいます。
寂しそうな顔をするマリンをよそに、しまいには「うちの猫いらなくて困っているのよね」「引っ越し先のマンションがペット禁止でね、いらなくなっちゃったの」と、無責任にも息子の奏に押し付ける始末…。
マリンを託された息子は、幼い頃に自分も同じような扱いをされたことを思い出し憤ります。
「ふざけるなァ!生き物はおもちゃじゃない、生きているんだ傷付くんだ!」
「責任をとりたくないならお前は金輪際生き物を飼うなァ!!」
結局、マリンを育てることを決めた奏は、友人の森山くんにアドバイスを求めるのでした。
この投稿には約6万もの「いいね」が寄せられ、「マリンが奏さんに引き取られて本当に良かった…!」「胸糞かと思ってハラハラしたけど、救いがあってよかった」「泣いてしまった。マリンよ、幸せになってくれ〜」「母親、全く悪いと思っていない様子なのがまた怖い…」と大きな反響を呼びました。
作者の桜井海さんに今作を描いたきっかけなどを聞きました。
――漫画「命を飼うということ」を描いたきっかけ、背景を教えてください。
昔、爪が無いアメリカンショートヘアを保護したことがあります。動物病院に連れて行ったら、おそらく飼い主は賃貸に住んでいて、壁などを傷つけないように爪を抜いたのだろうとお医者さんが話していました。そして引っ越しのときに置いていったと。
自分の都合で猫を傷つけたのに、責任すら負わないのかと悲しくなったのを覚えています。“猫や生き物はおもちゃじゃない”という気持ちを伝えたくて描きました。
ちなみに、そのアメショは祖母家の家族に最期まで愛されて過ごしました。
――今作に込めた思いを教えてください。
キャラの受け取り方は読者に委ねていますので、どこまで話していいのか迷いますが。これでもかなりマイルドに描きました。
捨てる側と会話をしたことが何度かあるのですが、同じ言語を話しているのに会話が成立しません。捨てることを目的にしている人と、育てることを目的にしている人では話が噛み合わないのです。
話が通じない経験は多々ありますが、それが家族だとより辛いと思います。そんな日比野に幸せになってほしくて描きました。
――大きな反響が寄せられていますが、どのように感じていらっしゃいますか?
本当に嬉しいです!皆様ありがとうございます!
「命を飼うということ」が収録された『おじさまと猫』は、ペットショップで日に日に値段が下げられ、見向きもされず、諦めていた猫と男性が出会う話です。以前から、買われないまま大きくなり、値段が下げられる猫や他の生き物たちを見ていると悲しくなっていました。
私はずっと猫を飼っていたので猫漫画を描きたいと思っていたのですが、何気なく描いた猫漫画は可愛い猫の話ではなく、心に引っ掛かっていたペットショップの話でした。
本当に何気なく描いてSNSに載せた漫画だったので、あまりの反響に驚きました。そしてもっと幸せにしてあげようと続きを描いていたら、書籍化の話が出て今に至ります。
日比野とマリンの物語も続いていくので、彼らがどうなっていくのか気になってくださった方がいましたら、続きを読んでいただけると嬉しいです。