帝国データバンクが8月23日、女性管理職の割合の平均が調査開始以来初めて10%を超えたと発表した。
日本は、海外諸国に比べて女性の管理職登用などが遅れている。政府は、2030年度までに女性管理職比率30%との目標を掲げているが、現時点では目標値までほど遠い現状となっている。
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女性管理職、初の10%超え。業界別では小売がトップ
調査は2024年7月18日~31日にオンラインで行われ、1万1282社の回答をまとめた。
調査結果によると、女性管理職割合の平均は10.9%。政府目標の30%を達成している企業も11.4%となり、共に2013年の調査を始めて以降、初の10%超えとなった。
政府目標を満たしている企業の割合が過去最大の上昇幅を見せた一方、管理職が全員男性という企業も43.0%だった。前年から2.1ポイント低下したものの、依然として大きな割合を占めている。
女性管理職の割合を規模別にみると、「大企業」が平均7.6%で最も低く、「中小企業」は11.5%、うち「小規模企業」は14.4%で、規模が小さい企業ほど女性管理職割合の平均が高かった。
業界別では、「小売」が19.4%で最も高く、「不動産」(16.7%)、「サービス」(15.3%)などが続いた。
「女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか」という質問に対しては、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.7%。「変わらない」と答えた企業は42.4%だった。
女性役員の割合も過去最高。一方で「全員男性」が依然半数以上
社長を含む役員のうち女性が占める割合については、平均が13.5%となり、過去最高だった。
女性が役員の30%以上という企業も18.6%あった。
一方で、役員が全員男性という企業も依然として52.4%あり、企業間で差が出た結果となった。
政府は「女性版骨太の方針2024」で、東証プライム市場に上場する企業の女性役員の割合について、2025年までに19%、2030年までに30%以上との目標を掲げている。
女性管理職が増えない背景は?
女性管理職の割合が増えない背景について、企業はどう捉えているのか。
調査結果では、「女性従業員の家族と仕事の両立がしにくい」が54.4%で最も多く、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)や「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)、「候補者がいない」(34.1%)などの回答が続いた。
性別役割分担意識の存在により、依然として夫婦間で家事や育児が女性に偏っている状況がある中で、仕事と家庭の両立に悩む女性が多くいる現状がある。
女性の管理職や役員の割合を増やし、女性が働きやすい職場を目指すために実施している取り組みに関しては、「性別に関わらず成果で評価」が61.2%で最も多かった。
その次に、「性別に関わらず配置・配属」(50.6%)、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」(32.8%)、「就業時間の柔軟化」(27.5%)などが続いた。