頭蓋骨の一部を失くされた米患者、3000万円以上を請求され病院を訴える

病院が頭蓋骨の一部を紛失したため、人工の代替品を使用しなければならなかったという
ジョージア州アトランタのエモリー大学病院(2014年8月1日撮影)
ジョージア州アトランタのエモリー大学病院(2014年8月1日撮影)
Jessica McGowan via Getty Images

頭蓋骨の一部を紛失された上、代替の人工骨の費用を請求されたアメリカ・ジョージア州の男性が8月、病院を相手取り訴訟を起こした。

訴状によると、フェルナンド・クラスターさんは2022年9月30日、脳出血の治療のためにアトランタのエモリー大学病院で減圧開頭術を受けた。

手術では「骨弁」と呼ばれる頭蓋骨の一部を切除して、約1カ月後の頭蓋形成術で戻す予定だったという。

頭蓋形成術は11月11日に予定されていたが、クラスターさんは手術の直前に、病院のスタッフが骨弁を紛失したと主張している。

クラスターさんの代理人であるクロエ・ダレール弁護士がハフポストUS版に提供した診療記録によると、骨弁は手術の前日にはあったものの、当日に行方がわからなくなった。

診療記録には「骨弁が保管されている冷凍庫を調べたが、クラスター氏の患者IDに紐づいた骨弁は見つからなかった」「患者IDが不完全、もしくはない骨弁が複数あったが、その中にクラスター氏のものがあるかどうかは確認できなかった」と書かれていた。

訴状によると、クラスターさんは「人工の骨弁を作るので頭蓋形成術の日程を変更しなければならない」と、病院のスタッフに告げられた。

ダレール弁護士は、手術が遅延したためクラスターさんは入院の延長を余儀なくされたとハフポストUS版に述べた。

手術は2022年11月23日に行われたものの、クラスター氏は人工の骨弁が原因で感染症を発症。追加手術を受けなければならなかったという。

ダレール弁護士によると、クラスターさんは最終的に22万ドル(約3200万円)以上の医療費を請求された。その中には延長した入院費や人工骨弁の費用、人工骨弁の再除去や再移植など追加手術の費用も含まれていた。

ダレール弁護士がハフポストUS版に提供した声明で、クラスターさんは「エモリー大学病院のような医療機関が患者の頭蓋骨の一部を失い、その責任を認めないというのは衝撃的です」と述べている。

「私たち家族は、頭部の感染症の再発の恐怖や医療費など、エモリー大学病院の過失がもたらした結果を背負って生きていかなければならないのです」

クラスターさんは人工骨弁の移植手術から回復しつつあるというが、肉体的・精神的苦痛を受けたと訴えている。

訴訟ではクラスターさんの妻も原告として名を連ねており、「夫の愛情や社会関係、交友関係などを奪われた 」と主張している。

ハフポストUS版は訴訟についてエモリー大学病院に問い合わせたがこれまでに回答はない。また、同病院は訴訟に対するコメントを発表していない。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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